秋のマダニ刺され予防と取り方、危険サインまで一度に整理
秋のお墓参りや紅葉狩りのあと、赤ちゃんのマダニ刺されが気になりますよね。ツツガムシとマダニの見分け、安全な取り方、受診すべき危険サイン、予防3ステップのチェックリストまでまとめました。
お墓参りに行ったり、紅葉がきれいだからと赤ちゃんとお出かけしたあと、夜にお風呂で洗っていたら、首の後ろや腰のあたりに見慣れない黒いかさぶたがついている——。そんな時は胸がひやりとしますよね。虫に刺された跡なのか、ただの傷が治ったものなのか、それとも噂に聞くマダニなのか、ひと目では分かりにくいものです。
秋はマダニやツツガムシを特に気をつけたい季節です。ツツガムシ病は秋から初冬にかけて患者が増え、お墓参り・草刈り・稲刈り・紅葉狩り・キャンプのように草地に体をつける野外活動が集中する時期と重なります。赤ちゃんは自分でマダニを取ることもできず、どこがどう不快なのかを言葉で伝えることも難しいので、保護者が代わりに見てあげる部分が多くなります。
この記事に必要なことをまとめました。秋のダニにどんな種類があるのか、刺されたときにどう安全に取り除くのか、どんなサインが見えたらすぐ病院へ行くべきか、そしてそもそも刺されないための予防3ステップまで順番に整理したので、今必要なところからご確認ください。

目次
秋はなぜダニをより気をつけるべき?
秋は、ダニが媒介する感染症が一年のうちで最も多く発生する季節だからです。代表的なツツガムシ病は秋から初冬に患者が集中しますが、この時期が、お墓参り・草刈り・稲刈り・紅葉狩り・キャンプのように、草地や里山に体をつける活動が多い時期とちょうど重なります。
ダニは草の先や低い茂みについていて、通りかかった人や動物に乗り移ります。だから芝生にレジャーシートを敷かずに座ったり、茂みをかき分けて歩いたり、草地で走り回ったりする状況で刺される危険が上がります。赤ちゃんは背が低く草に体が触れやすく、刺されても自分で取ったり知らせたりできないので、保護者がもうひと手間気をつけたい季節です。
秋のダニにはどんな種類がある?
気をつけたい秋のダニは大きく二種類に分けられます。ツツガムシ(幼虫)が媒介するツツガムシ病と、マダニが媒介するSFTSです。名前が似ていて紛らわしいのですが、媒介するダニも違い、潜伏期・症状・治療法も違うので、区別しておくと役立ちます。まず下の表で一覧にまとめました。
区分 | ツツガムシ媒介 ツツガムシ病 | マダニ媒介 SFTS |
|---|---|---|
媒介するダニ | ツツガムシの幼虫 | マダニ(フタトゲチマダニ など) |
潜伏期 | 約1〜3週間 | 約4〜15日 |
主な症状 | 高熱・悪寒・筋肉痛・発疹、刺された跡に刺し口(黒いかさぶた) | 高熱とともに嘔吐・下痢などの消化器症状 |
特徴的な徴候 | 刺し口(黒いかさぶた、eschar)が出やすい | はっきりした刺し跡が見えないこともある |
治療 | 抗生物質で治療可能、早期対応が大切 | 専用の治療薬がまだなく予防が最善 |
致命率 | 早期に治療すれば予後はおおむね良好 | 約20%と高めのことが多い |
ツツガムシとツツガムシ病
ツツガムシ病は、ツツガムシの幼虫に刺されて感染する病気です。刺されてから約1〜3週間の潜伏期を経て高熱・悪寒・筋肉痛・発疹が現れ、刺された跡に刺し口と呼ばれる黒いかさぶたができるのが特徴的な徴候です。この黒いかさぶたは虫刺されの跡のように見えて見過ごしやすいのですが、高熱と一緒に現れたら見過ごさないほうがよいでしょう。
幸い、ツツガムシ病は抗生物質で治療できます。ただ、早期に気づいて対応することが予後を左右するので、野外活動のあとに黒いかさぶたと発熱が一緒に見えたら、早めに受診することが大切です。
マダニとSFTS
SFTSは重症熱性血小板減少症候群を略した言葉で、マダニ(フタトゲチマダニ など)に刺されて感染します。潜伏期は約4〜15日で、高熱とともに嘔吐・下痢のような消化器症状が目立つ傾向があります。
SFTSはまだ専用の治療薬やワクチンがなく、致命率が約20%と高めのことが多いので、何よりも刺されないよう予防することが最善です。ツツガムシ病のようにはっきりした黒いかさぶたが必ず見えるわけではないので、野外活動のあとに原因不明の高熱と消化器症状が続く場合は、ダニに触れた可能性を念頭に置いて受診するのがよいでしょう。
赤ちゃんは主にどこで刺される?
ダニは多くの場合、草地や里山のように草が生い茂った場所で乗り移ります。秋なら、お墓参りや草刈りに行くお墓の周り、紅葉狩りやキャンプをする芝生や森の小道、稲刈り中の田畑の近くが代表的です。
赤ちゃんが危なくなる状況はだいたい似ています。レジャーシートを敷かずに芝生へ直接座ったり寝かせたりする場合、茂みを通って服や素肌が草に触れる場合、草地で這い回ったり走り回ったりする場合です。赤ちゃんは大人より背が低く草に体が触れやすく、袖や裾がまくれて素肌が出やすいので、触れる機会が多くなりがちです。だから、どこで遊ぶかと同じくらい、どう着せてどこに座らせるかが大切になります。
ダニに刺されたらどう取り除く?
すでに刺されてダニが皮膚についている場合は、先の細いピンセットで皮膚にできるだけ近いところをつかみ、垂直にゆっくり引き抜くのが基本です。ただし間違って取るとダニの口の部分が皮膚に残ったり、体液が逆流したりすることがあるので、できれば医療機関で取り除くほうが安全です。特に赤ちゃんなら、無理に自分で取るより、まず病院を思い浮かべてください。
安全な取り除き方の手順
- 先が細くとがったピンセットを用意します。
- ダニの胴体ではなく、皮膚にいちばん近い頭の方をつかみます。
- ひねらず、皮膚と垂直の方向にゆっくり一定の力で引き抜きます。
- 抜いた場所は石けんと水で洗い、清潔に保ちます。
- 刺された日付を記録しておき、その後の数日〜3週間、発熱や発疹などの症状がないか見守ります。
絶対にやってはいけないこと
- ダニをひねったり胴体をつぶしたりしないでください。口の部分が残ったり、体液が逆流したりすることがあります。
- 手でつかんでつぶさないでください。
- 火であぶったり、ワセリン・アルコールなどを塗って窒息させようとする民間療法はおすすめしません。かえってダニが刺激を受け、状況が悪くなることがあります。
- 無理に取ろうとして口の部分が皮膚に残ったら、無理にほじらず、医療機関で確認してもらうのが安全です。
こんな時は病院へ
刺されてから数日〜3週間のあいだに下のサインが一つでも見えたら、ためらわず小児科や救急で受診してください。特に赤ちゃんは症状を言葉で伝えにくいので、いつもと違ってぐったりしたり、うまく飲めなかったりする変化もあわせて見てあげてください。
ダニ刺されのあとの危険サイン・チェックカード
- 38度を超える高熱や悪寒がある。
- 刺された跡や体に発疹が出る。
- 刺された跡に黒いかさぶた(刺し口)ができた。
- 嘔吐や下痢のような消化器症状が続く。
- ひどい頭痛を訴える、または妙に元気がなくぐったりする。
- 野外活動のあと、原因の分からない症状が繰り返す・ひどくなる。
受診する時は、最近野外活動をしたことと、ダニに触れた可能性を必ず伝えてください。いつどこへ行ったか、刺し跡をいつ見つけたかといった情報が、診断と治療を早めるのに役立ちます。
もう一つお願いがあります。熱が出たからと、家にある解熱剤や抗生物質を自己判断で飲ませるのはおすすめしません。ダニ媒介感染症は種類によって治療の進め方が違い、自己判断の服用は診断を遅らせたり状態を分かりにくくしたりすることがあります。薬は受診を通して判断してもらうのが安全です。
ダニ刺されはどう予防する?
いちばん確実なのは、そもそも刺されないようにする予防です。保健当局が案内する野外活動の予防のポイントは、大きく三つのステップに整理できます。服と忌避剤で防ぎ、草地に直接体をつけず、帰宅後すぐ確認する、という流れです。下のチェックリストで外出の前後に一つずつ確かめてみてください。
予防3ステップ・チェックリスト
ステップ1・出かける前 — 服と忌避剤
- 明るい色の長袖トップスと長ズボンを着せます。明るい服はダニを見つけやすくします。
- ズボンの裾を靴下の中に入れるかまとめて、素肌が出ないようにします。
- ダニ忌避剤を使う時は、赤ちゃんの年齢と成分(ディートの濃度、イカリジンなど)を確認し、製品の使い方に沿って使います。確かめられていない濃度での自己判断の使用は避けてください。
ステップ2・野外で — 草地に体をつけない
- 芝生や草地にはレジャーシートを敷き、地面に直接座らせたり寝かせたりしません。
- 茂みをかき分けて歩いたり、草地で這い回ったりしないよう見守ります。
- 脱いだ服や毛布を草地にそのまま置きません。
ステップ3・帰宅後 — すぐ確認
- 帰宅したらすぐシャワーで洗い、着ていた服はすぐ洗濯します。
- 皮膚の折り目を丁寧に見ます — 耳の後ろ、首、脇の下、腰、ひざの裏、股のように、ダニが隠れやすい場所です。
- おむつや服の中の折り目まで、保護者が直接確認します。赤ちゃんは自分で取れないので、この手順が特に大切です。

よくある質問
ダニ忌避剤は何か月から使えますか?
忌避剤は製品ごとに使える年齢や成分の基準が違うので、まず製品表示の年齢の目安と成分(ディートの濃度、イカリジンなど)を確認するのが先です。小さな赤ちゃんなら、物理的に防ぐ方法、つまり明るい色の長い服とレジャーシートの使用を基本にして、忌避剤は補助と考えるほうが安全です。使うかどうか迷う時は小児科に相談してみてください。
ダニに刺された跡はどんな見た目ですか?
ツツガムシ病は、刺された跡に刺し口と呼ばれる黒いかさぶたができることが多いです。虫に刺されたあとの治りかけの跡のように見えて見過ごしやすいのですが、高熱・発疹のような症状が一緒にあれば見過ごさないほうがよいでしょう。逆にマダニ刺されははっきりした跡が見えないこともあるので、跡の有無だけで安心したり決めつけたりするのは難しいです。
ペットがダニを家に持ち込むこともありますか?
草地を歩いたペットの毛にダニがついてくることがあります。散歩のあとはペットの体も見てあげて、ダニの予防管理は動物病院に相談してみてください。赤ちゃんとペットが一緒に暮らす家なら、外出後の確認をお互いに気にかけるとよいでしょう。
近所の公園や芝生も危険ですか?
ダニは主に草が生い茂った里山や草地に多いですが、手入れの行き届いていない芝生や茂みのある公園・遊び場でも刺されることがあります。危険をゼロにするより、長い服を着せ、草地に長く座らせず、帰宅後に見る習慣をつけるほうが現実的です。
最後にまとめると
秋はダニ媒介感染症が最も多い季節なので、お墓参りやお出かけのように草地に体をつける活動の前後に少し気をつけるだけでも、危険を大きく減らせます。ツツガムシが媒介するツツガムシ病と、マダニが媒介するSFTSは潜伏期や症状が違いますが、予防のポイントは同じです。
大切なのは三つです。明るい色の長い服と忌避剤で防ぎ、草地にはレジャーシートを敷き、家に帰ったらすぐ洗って折り目を確認すること。そして刺されてから数日〜3週間のあいだに高熱・発疹・黒いかさぶた・嘔吐や下痢のようなサインが見えたら、自己判断で薬を飲ませず、野外活動の経緯を伝えて受診してください。赤ちゃんは自分で取ることも、痛いと言うこともできないので、保護者の一度の確認がいちばん頼もしい予防になります。