卵・ピーナッツを遅らせないで。アレルゲン食品の早めの導入がアレルギー予防に役立ちます

卵・ピーナッツは1歳過ぎてから、という話はもう昔のこと。4〜6か月の離乳食開始の頃から安全に早めに導入するほうが、むしろアレルギー予防に役立つことがあります。安全な導入4ステップ、8大アレルゲン食品、家族歴・アトピーがあるときの注意点まで整理しました。

卵・ピーナッツを遅らせないで。アレルゲン食品の早めの導入がアレルギー予防に役立ちます

離乳食を始める頃になると、卵やピーナッツのような食品をいつあげるべきか悩みますよね。「そういうものは1歳を過ぎてからゆっくりあげるのが安全」という話を聞いたことがあるかもしれません。ところが今は、その反対に案内することが多いのです。

まず大きな方向からお伝えします。アレルギーが心配だからと卵・ピーナッツのようなアレルゲン食品をわざと遅らせることが、アレルギーを防いでくれるという根拠は弱いのです。むしろ生後4〜6か月頃に離乳食を始めながら、いろいろな食品を一緒に適切に導入するほうが、アレルギー発症のリスクを下げるのに役立つことがある、という方向に変わってきました。ピーナッツを早い時期に口にした子どもでアレルギーが少なかったという研究(LEAP研究)が、この変化の背景になっています。

もちろん赤ちゃんによって準備の時期や状態が違うので、「何か月に必ずピーナッツ」といった公式はありません。以下では、なぜ早めの導入が予防に役立つのか、家で安全に試す方法、そして特に注意すべき点まで、一つずつ整理してお伝えします。

卵・ピーナッツ、「1歳過ぎてから」と言われていたのはなぜ変わった?

以前は、アレルギーの危険が高い食品は遅くあげるほど安全だと考えられていました。そのため卵は卵黄からゆっくり、ピーナッツ・ナッツ類は1歳や2〜3歳以降に遅らせるという話が多かったのです。しかし、このように遅らせる方法がアレルギーを防いでくれるという根拠ははっきりせず、最近はむしろ適切な時期に導入するほうを勧める流れに整理されました。

昔の通念と最新の指針の違いを左右で比較したインフォグラフィック

ポイントは、「怖いからと最初から外しておくこと」が安全な選択とは限らない、という点です。離乳食を始める頃からいろいろな食品を少しずつ経験させてあげることが、特定の食品を長く避けるよりよいことがある、ということです。離乳食をいつ始めてよいかまだ確信が持てなければ、赤ちゃんが離乳食を始めてよいサインを先に確認してみてもよいでしょう。

なぜ早めの導入が予防に役立つ?

赤ちゃんの体は、新しい食品を口で出会いながら「これは大丈夫な食品」と覚えていくといわれます。ところが特定の食品を長く避けてばかりいると、その食品を安全に受け入れる機会がかえって減ってしまうことがあります。卵・ピーナッツのようなアレルゲン食品も同じです。離乳食の時期に少量ずつ経験しておくほうが役立つことがある、というわけです。

ただ「早めの導入がよい」は「早いほど必ずよい」という意味ではありません。赤ちゃんが離乳食を受け入れる準備ができたときに、安全な方法で一つずつ試すことが大切です。準備もできていないのに急いだり、いくつもを一度にまとめてあげたりするのはおすすめしません。離乳食の最初の材料をどんな順番で始めるとよいかは、離乳食の最初の食べ物、何からどう始める?で詳しく紹介しています。

家で安全に導入する4ステップ

アレルゲン食品を初めてあげるときは、いくつか守るだけでずいぶん安心できます。下の4つが基本の原則です。

アレルゲン食品の安全な導入4ステップを順に示すインフォグラフィック

1. 一度に1種類だけ

新しいアレルゲン食品は一度に1つずつ試します。いくつもの材料を混ぜて最初にあげると、もし反応が出たとき何が原因か見分けにくくなります。1つを数日見守って大丈夫なら次の食品へ進む流れが安全です。

2. ごく少量から

最初は小さじ程度のごく少ない量から始めます。特に反応がなければ、次回から量を少しずつ増やしていきます。初日から多い量をあげるより、少なく始めて反応を見ながら増やすのがよいです。

3. できれば午前中に、家で

新しい食品はできるだけ午前中に、家であげることをおすすめします。もし反応が出ても日中に赤ちゃんの様子を見やすく、必要ならすぐ病院に行けるからです。遅い夜や外出中に初めて試すのは避けるほうが安全です。

4. 数日間、反応を見守る

1つの食品をあげた後は、ふつう2〜3日、長くて1週間ほど赤ちゃんの様子を見守ります。皮膚の発疹、じんましん、嘔吐・下痢、いつもと違うぐずりのような変化がないか確認します。異常がなければその食品は続けてよく、次の食品へ進めばよいのです。

知っておきたい8大アレルゲン食品

アレルギーを起こしやすい食品として、よく8つが挙げられます。これらをまったく避けよという意味ではなく、初めてあげるときに1種類ずつ慎重に導入するとよい、という意味です。

8大アレルゲン食品をアイコンとともに整理したインフォグラフィック
アレルゲン食品よくある形導入のメモ
完全に火を通した卵よく加熱して少量から
牛乳料理に使う乳製品牛乳そのものは1歳以降
ピーナッツ細かくすったもの・ピーナッツバターを薄めて粒のピーナッツは窒息の危険、NG
ナッツ類細かくするか塗り広げた形粒のナッツは窒息の危険、NG
小麦火を通した小麦の料理少量から
大豆豆腐・火を通した豆類つぶして少量から
骨を取り火を通した身少量から
甲殻類火を通した身を細かく最初は特に少量

ここで必ず覚えておきたい点があります。ピーナッツとナッツ類は丸ごとあげません。硬くて丸い粒のピーナッツ・ナッツは、赤ちゃんが飲み込む途中で気道に入って窒息する危険があります。ですからアレルゲン食品として試すときは、細かくすりつぶすか、やわらかく塗り広げられる形にごく薄くして与えるのが安全です。ナッツ類を「早く口にすること」と「丸ごとあげること」はまったく別の話だという点を、必ず区別してください。

家族歴やひどいアトピーがあるなら、まず相談を

早めの導入がおおむね勧められるからといって、すべての赤ちゃんに同じように当てはまるわけではありません。特に保護者やきょうだいに食物アレルギーのようなアレルギー疾患があったり、赤ちゃんに中等度以上のアトピー性皮膚炎があったりする場合は、導入の時期と方法を小児科と先に相談してから進めるのが安全です。

こうした場合は赤ちゃんの状態によって進め方が変わることがあります。インターネットの情報だけで一人で判断するより、受診して確認するほうがよいでしょう。「うちの赤ちゃんはアレルゲン食品をいつ、どう始めるとよいか」をあらかじめ聞いて計画を立てておくと、ずっと安心できます。

反応が出たら、こうしてください

新しい食品をあげた後に赤ちゃんに変化が見えると戸惑いますよね。下のサインが出たら、その食品をいったん中止して様子を見てください。

  • 口の周りや体にじんましん・発疹が出る
  • 嘔吐や下痢を繰り返す
  • 唇やまぶたが腫れる、いつもと違って激しくぐずる

こうした症状が見えたら、その食品をやめて小児科で確認するのが安全です。特に息が苦しそう、顔・唇が腫れてぐったりする、全身にじんましんが急速に広がるなど、ひどいアレルギー反応(アナフィラキシー)が疑われる場合は、ためらわずすぐに119番に連絡して救急外来へ向かってください。反応が出たときにどんな症状をどう見て対処すればよいかは、赤ちゃんの食物アレルギーの症状とサインで詳しく整理しています。

よくある質問

ピーナッツは正確に何か月であげればよい? 「何か月に必ず」と言い切るのは難しいです。赤ちゃんによって離乳食の準備の時期が違うからです。おおむね離乳食を始める4〜6か月頃から、細かくすった形で少量ずつ試してみることができます。家族歴やアトピーがあれば、始める前に小児科と相談してください。

一度大丈夫だったら、もう安心してよい? 最初の少量で反応がなくても、その後量を増やしたり頻繁にあげたりするときに反応が出ることもあります。導入の初期は量をゆっくり増やしながら、続けて見守るのがよいです。

卵は卵黄からあげるべき? 以前は卵黄から順番を気にする話が多かったですが、今は完全に火を通した卵を少量から試すほうへ案内することが多いです。どんな形で始めるか迷うなら、受診のときに一緒に聞いてみるのも方法です。

ミルク・母乳をあげている間でも、アレルゲン食品を導入してよい? はい、授乳はそのまま続けながら、離乳食としてアレルゲン食品を一つずつ導入すればよいです。授乳をやめて始めるのではなく、離乳食を足していく考え方です。

最後にまとめると

卵・ピーナッツを1歳過ぎてからゆっくりあげよ、という話はもう昔のことに近くなっています。アレルギーが心配でアレルゲン食品を長く遅らせるより、赤ちゃんが離乳食を始める準備ができたときに安全な方法で一つずつ導入するほうが、予防に役立つことがあります。

方法は難しくありません。一度に1種類ずつ、ごく少量から、できれば午前中に家であげ、数日間反応を見守ることです。卵・牛乳・ピーナッツ・ナッツ類・小麦・大豆・魚・甲殻類の8つは、初めてあげるとき特に慎重に進め、ピーナッツ・ナッツ類は窒息の危険があるので丸ごとあげず、細かくするか塗り広げた形であげてください。

ただし家族歴があったり赤ちゃんにひどいアトピーがあったりする場合は、導入の前に小児科と先に相談するのが安全で、反応が出たらその食品を中止して受診してください。息が苦しそう、顔が腫れるなどひどい反応が疑われたらすぐ119番に連絡すること、この部分だけは必ず覚えておいてください。

ハイチェアに座り手に持ったおやつを食べる赤ちゃん