風邪・インフルエンザ・新型コロナ、赤ちゃんの症状の見分け方と受診サイン

赤ちゃんの風邪・インフルエンザ・新型コロナの症状比較表と見分けの手がかり、インフルエンザの48時間の意味、受診・救急サインのチェックリスト、家での解熱・水分ケアを安全にまとめました。

風邪・インフルエンザ・新型コロナ、赤ちゃんの症状の見分け方と受診サイン

元気に遊んでいた赤ちゃんが急に火のように熱くなると、頭が真っ白になりますよね。測ってみると39度、手足はぐったり、ごはんも食べようとしない。これがただの風邪なのか、いま流行しているインフルエンザなのか、それとも新型コロナなのか、まったく見当がつかず、夜通し検索してしまいます。

まずは少し肩の力を抜いても大丈夫です。風邪・インフルエンザ・新型コロナは初期症状がかなり重なるため、家で症状だけを見て3つを100%見分けるのは、実は小児科の先生でも検査なしでは難しいことが多いです。ですから「自分には見分けられない」と自分を責めなくて大丈夫です。

代わりに役立つのは2つです。1つはどちらの可能性が高いかを推し量る手がかりになる症状パターンの違い、もう1つは原因が何であれ今すぐ病院に行くべき危険なサインです。この記事では、風邪・インフルエンザ・新型コロナの症状を並べて比べ、インフルエンザのときになぜ48時間が大切なのか、どんなサインならためらわず受診すべきか、家でできるケアとしてはいけないことまで一つずつ整理します。

ふんわりしたおくるみに包まれて眠り、休んでいる赤ちゃん

3つとも熱が出るのに、なぜこんなに迷うのでしょう

風邪・インフルエンザ・新型コロナは、いずれもウイルスが起こす呼吸器の感染症です。そのため熱、せき、鼻水、のどの痛み、ぐったりといった重なる症状が多くあります。特に赤ちゃんはどこがどう痛いか言葉で伝えられないので、親としてはよけいに迷ってしまいます。

ここでよくある誤解を先に整理します。「風邪がひどくなるとインフルエンザになるのでは」と思いがちですが、風邪とインフルエンザは原因ウイルスがまったく異なる別の病気です。風邪が悪化してインフルエンザになるのではなく、最初から違うウイルスに感染したのです。また「熱が高ければ必ずインフルエンザ」と決めつけるのも難しいです。風邪でも赤ちゃんはかなり高い熱が出ることがありますし、インフルエンザでも熱がそれほど高くないときがあるからです。

ですから以下の比較は、あくまで可能性を測る手がかりとして見てください。正確に何かを確定するのは、赤ちゃんを直接診察し、必要なら検査までした小児科の先生の役割です。

風邪・インフルエンザ・新型コロナの症状をひと目で比べると

いちばん大きな分かれ道は、症状が始まる速さと全身症状の強さです。風邪は鼻水・くしゃみから1〜2日かけてゆっくり始まる一方、インフルエンザは元気だった子が数時間のうちに急な高熱と悪寒、全身がうずく倦怠感でがくっと崩れることが多いです。新型コロナはその中間あたりで、人によって症状の幅が広めです。

区分風邪インフルエンザ新型コロナ
始まり方ゆっくり、1〜2日かけて急に、数時間でがくっと悪化さまざま、ゆっくり〜急に
発熱なし、または微熱38〜40度の高熱・悪寒がよくある微熱から高熱までさまざま
全身症状ほとんどない筋肉痛・倦怠感・強いぐったりが目立つ疲れ・だるさがあることも
鼻水・くしゃみよくある、主な症状あることもあるが目立たないあることも
せき・のどの痛みよくある、たいてい軽いよくあるよくある
小児に特有の症状おおむね軽い熱性けいれん・嘔吐・下痢・腹痛を伴うこともおおむね軽いが個人差が大きい
においや味の変化まれまれ出ることがある(表現できる大きい子)

まとめると、ゆっくり始まり鼻水・くしゃみが中心で全身はどうにか耐えられる程度なら風邪に近く、急な高熱と強い倦怠感・ぐったりが目立てばインフルエンザをやや疑えます。ただし小さな赤ちゃんのインフルエンザは、大人のように倦怠感を訴える代わりに嘔吐・下痢・腹痛といった消化器の症状や熱性けいれんで現れることもあり、症状だけで決めつけにくい場合が多い点も覚えておいてください。

インフルエンザが疑われるなら48時間が大切です

インフルエンザが疑われるとき、特に覚えておきたいことが1つあります。インフルエンザには抗ウイルス薬があり、この薬は症状が始まってからおよそ48時間以内に使い始めるときに、いちばん効果を期待できます。ですから「急に高熱と倦怠感でがくっと崩れた」と思ったら、様子を見て先延ばしにするより、できるだけ早く小児科を受診するほうがよいでしょう。

特に月齢が低い赤ちゃんや、早産児・慢性の肺の病気・心臓の病気・免疫が弱い赤ちゃんのように高リスクにあたる場合は、合併症のリスクがより大きく、早めの受診と処方を考えます。どの薬をどれだけ使うかは、赤ちゃんの年齢や体重、状態を見て医療者が判断する部分なので、親の判断で薬を決めたり大人の薬を分けて飲ませたりすることは避けてください。

このとき控えておくとよいのが、症状が始まった時刻です。「いつから熱が出たか、何日目か」は48時間の窓を判断するのに実際に役立ちます。熱が上がった時刻と最高体温、解熱薬を飲ませた時刻、飲んだ量・おしっこの回数などを簡単にメモしておくと、受診のときにずっと正確に説明できます。こうした症状の記録は、すくすくぱしゃのような育児記録アプリに熱・体調のメモとして残しておくと、手で書くより漏れなく管理しやすいです。

こんなサインが見えたら今すぐ病院へ

原因が風邪でもインフルエンザでも新型コロナでも、下のサインが1つでも見えたら、見分けより受診が先です。特に生後3か月未満の赤ちゃんが熱を出したら、それ自体がすぐ受診の対象なので、ためらわないでください。

  • 生後3か月未満なのに熱(38度以上)がある
  • いつもより速く苦しそうに呼吸する、または呼吸のとき肋骨の間・胸がぺこぺこへこむ
  • 唇や顔が青く見える(チアノーゼ)
  • ぐったりしてなかなか起きない、目を合わせにくく反応が鈍い
  • けいれん(熱性けいれん)を起こす、または初めてのけいれん
  • うまく飲めない、おしっこが急に減る、泣いても涙が出ないなど脱水が疑われる
  • 高熱が何日も続く、またはよくなりかけてまた悪くなる
  • ひどくぐずって泣きやまない、または首が硬く見える

この中でも呼吸が苦しそう、唇が青い、けいれんを起こす、起こしてもぐったりして反応がないときは、夜や週末でも救急を受診してください。「もう少し様子を見ようか」と先延ばしにするより、迷ったらまず相談するほうが安全です。

親の腕に抱かれ、哺乳びんで少しずつ水分をとる赤ちゃん

家でできることと、してはいけないこと

病院に行ってきた、またはまだ様子を見ている最中なら、家でのケアは大きく3つです。熱を楽に下げてあげる、水分を十分にとる、しっかり休ませる、この3つです。

解熱薬を使うときは、赤ちゃんの年齢と体重に合った用量を、説明書や医療者の案内どおりに守ってください。熱そのものより、赤ちゃんの体調のほうが大切な目安です。少し熱があってもよく飲んで遊べるなら急がないこともあり、反対に熱が下がってもずっとぐったりして飲まないなら、より注意が必要です。ぬるま湯でおでこ・首・わきの下をやさしく拭くのも役立ちますが、冷たい水やアルコールで拭くのはかえって赤ちゃんをつらくするので避けてください。

水分は少しずつこまめにがコツです。一度にたくさん飲ませようとするより、母乳・ミルク・水を少量ずつ分けて与えると、吐かずに飲み込みやすくなります。熱とともにゼーゼーする呼吸音や速い呼吸が見えたら、単なる風邪ではないことがあるので、赤ちゃんのRSVと単なる風邪の見分け方もあわせて確認してください。鼻がつまって苦しそうなら、寝かせる前に生理食塩水を数滴入れて鼻水を吸ってあげ、通してあげましょう。苦しそうに見えても、上半身を高くしたり傾けて寝かせたりするのは乳児にはすすめません。赤ちゃんは背中をつけて平らなところに寝かせるのが安全です。

1つ必ず覚えておきたいことがあります。2歳未満の赤ちゃんには、総合感冒薬やせき・鼻水の薬を親の判断で飲ませないでください。この年齢では得より害が大きいことがあるため、薬が必要かどうかと何を使うかは、必ず小児科と相談してください。夜にケンケンするせきやゼロゼロする呼吸音が心配なときは、赤ちゃんのクループが夜にひどくなるときのケアも参考にしてください。

また繰り返さないために、まず何をすればよいでしょう

いちばん基本で確実なのは手の衛生です。外出後・食事前、体調の悪い人と接したあとは、赤ちゃんもお世話をする人も30秒以上ていねいに手を洗ってください。せきをするときは服の袖で口と鼻をおおうせきエチケットも、家族みんなで守るとよいでしょう。

インフルエンザは毎年の予防接種でかなりの部分に備えられます。生後6か月から接種の対象になり、初めて受ける子は接種回数が変わることがあるので、時期や対象は小児科で確認してください。接種のあとに微熱が出ることがありますが、こうした発熱をどうケアするかは予防接種後の発熱ケアにまとめてあります。

最近はインフルエンザと新型コロナが同時に流行する時期があります。人の多い屋内は流行期には少し避け、体調の悪い家族はマスクと自分専用のコップ・タオルの分離で、赤ちゃんとの接触を減らしてください。

よくある質問

解熱薬を飲ませても熱が下がらないときはどうすればよいですか?

解熱薬を飲ませても熱が完全に平熱まで下がらないのは、珍しいことではありません。目標は熱を0にすることではなく、赤ちゃんを少し楽にしてあげることにあるからです。ただ用量・時間を守って飲ませても、赤ちゃんがずっとぐったりしてあまり飲まない、または高熱が何日も続くときは、もう一度受診するのがよいでしょう。

インフルエンザなら、保育園にはいつからまた通えますか?

決まった日数より、赤ちゃんの体調とうつしやすさが基準です。おおむね熱が下がって1日ほど落ち着いてから復帰を考えられますが、施設ごとに方針が異なるので、通園前に保育園・小児科に一度相談してください。

きょうだいにうつさないためには?

同じ空間を使うと完全に防ぐのは難しいですが、コップ・タオル・おもちゃを別にして手の衛生をこまめにすれば、リスクを減らせます。体調の悪い子の鼻・口の分泌物がついた手が主な感染経路なので、手洗いが思ったより大きな役割を果たします。

検査は必ず受けるべきですか?

赤ちゃんの状態や流行の状況に応じて、医療者が検査の要否を判断します。特にインフルエンザは抗ウイルス薬の早期使用のために、検査や臨床診断で早く確認するのが役立つことがあります。検査をするかどうかは、受診のときに先生と相談すれば大丈夫です。

最後に整理すると

要点だけ3行で。

  • 症状パターンはあくまで手がかりです。ゆっくり・鼻水中心なら風邪、急な高熱・強い倦怠感・ぐったりならインフルエンザをやや疑えますが、確定は診察と検査を経た医療者の役割です。
  • インフルエンザが疑われるなら48時間が大切です。急にがくっと崩れたら、先延ばしにせず小児科を受診してください。
  • 原因が何であれ、緊急のサインが優先です。3か月未満の発熱、苦しい呼吸・チアノーゼ、けいれん、強いぐったり、脱水が見えたら、ためらわず受診・救急へ向かってください。

熱が出る夜は、親にとって本当に長く感じられますよね。それでも、うちの子の状態をいちばん正確に見てくれるのは、赤ちゃんを直接診た小児科の先生です。家では安全に寝かせて楽にケアしてあげつつ、迷ったら先延ばしにせず相談してください。