赤ちゃんの布団とバンパー、あたたかく寝かせる安全な睡眠の原則
季節の変わり目の赤ちゃんの布団・バンパーガード・過熱がなぜ危険か、乳幼児の安全な睡眠5原則と、布団の代わりにあたたかく寝かせる安全な方法をまとめました。
夜の気温がぐっと下がる季節の変わり目になると、薄い肌着一枚で眠る赤ちゃんを見て、気が気でないですよね。風邪をひかないかと あたたかい布団を掛け、頭をぶつけないかとベッドのまわりにバンパーガードも巻いてあげたくなります。どれも赤ちゃんを思う気持ちですが、実はこの慣れ親しんだ保温法のいくつかが、赤ちゃんにはかえって危険になりえます。
まず要点からお伝えします。満1歳未満の赤ちゃんの寝床でいちばん安全な状態は、背中をつけて仰向けに、硬く平らな床に、何も置かず空けて寝かせることです。布団・枕・バンパーガード・ぬいぐるみはできるだけ片づけ、厚く巻き込んで過熱しないようにするのがよいです。寒さの心配は布団ではなく、ほかの方法で解決できます。
おどかしたいのではありません。何が危険で、ではどうすればよいのかを一つずつお伝えします。以下の原則は、公的機関が推奨する内容をもとにまとめています。
なぜ赤ちゃんの安全な睡眠がこれほど大切?
満1歳未満、とくに生後数か月の赤ちゃんは、眠る環境が原因で起きる事故に弱いです。代表的なのが乳幼児突然死症候群(SIDS)と、寝床の中での窒息です。まだ首を自由に持ち上げたり、顔を覆った物を自分で押しのけたりするのが難しいためです。
ですから安全な睡眠は「あるとよいコツ」ではなく「基本として守る環境」に近いです。赤ちゃんが眠る姿勢と床、まわりに何があるかを変えるだけでも、危険をかなり減らせるといわれます。
季節の変わり目にとくに注意が必要な理由はここにあります。あたたかくしてあげたい気持ちで布団を何枚も掛け、肌着の上にカバーオールまで着込ませ、部屋を暑くすると、保温ではなく過熱と窒息の危険のほうへ傾きえます。赤ちゃんは大人より体温調節が不得手で、暑さにも敏感なのです。
赤ちゃんの寝床で危険なもの
まず何を片づけるべきかから見ます。赤ちゃんが眠る空間から、できるだけ外しておくとよいものです。
- 布団と毛布: 顔を覆ったり体に巻きついたりすると窒息・過熱の危険があります。赤ちゃんが寝返るうちに布団の中へ入り込むこともあります。
- 枕: 赤ちゃんに枕は必要ありません。頭が埋もれると危険なことがあります。
- バンパーガード(ベッドまわりのクッション): 頭を守ってくれそうですが、顔が押されて起きる窒息や、すき間に挟まる事故の危険のため、おすすめしません。
- ぬいぐるみ・クッション・睡眠補助クッション類: ふかふかした物は顔を覆いうるので、寝床に置かないのがよいです。
- 厚く巻き込む: 何枚も重ねたり顔まで覆ったりすると過熱しやすいです。
姿勢についても避けたいことがあります。
- うつぶせ寝・横向き寝: うつぶせや横向きは危険が高まります。いつも背中をつけて仰向けに寝かせるのが原則です。
- 傾斜をつけて寝かせる・上半身を高くして寝かせる: 鼻づまりや逆流を減らそうと上半身を高くしたり斜めに傾けて寝かせる方法はおすすめしません。体がずり落ちて姿勢が崩れると、かえって危険になりえます。
この一覧だけを見ると「では何もしてあげられないの?」と物足りなく感じるかもしれません。でも寝床を空けるのは放置ではなく、赤ちゃんがいちばん安全に眠れる状態を作ってあげる積極的なケアです。
安全な睡眠の5原則を、一目でまとめます
公的機関が共通してすすめる安全な睡眠の要点を五つに絞ってみました。一つずつ守るだけでも、寝床の環境がずっと安全になります。
| 原則 | こうします |
|---|---|
| 背中をつけて寝かせる | お昼寝も夜の眠りも、いつも背中をつけて仰向けに寝かせます。横向き・うつぶせで寝かせません。 |
| 硬く平らな床 | 赤ちゃん用マットレスのように硬く平らな床に寝かせます。ふかふかのソファ・クッションの上で寝かせるのは避けます。 |
| 寝床を空ける | 布団・枕・バンパー・ぬいぐるみ・クッションなしで寝床を空けておきます。 |
| 過熱禁止 | 部屋を暑くしすぎたり厚く巻き込んだりしません。顔はいつも覆われないようにします。 |
| 同じ部屋、別の寝床 | 同じ部屋で寝かせつつ、大人のベッドではなく赤ちゃん専用の寝床を別に用意します。 |
とくに「同じ部屋、別の寝床」が分かりにくいのですが、同じ部屋で赤ちゃんを見守れるようにしつつ、大人の布団・枕がある大人のベッドに一緒に寝かせるのはおすすめしない、という意味です。ベビーベッドや赤ちゃん用の寝床を親のベッドの近くに置く方式が、安全により近いです。
では、あたたかくはどう寝かせる?
布団を片づけてと言われると、寒くないかとよけい心配になりますよね。幸い、布団なしでもあたたかく寝かせる方法があります。要点は「掛ける」代わりに「着せる」こと、そして部屋の温度をほどよく合わせることです。
- スリーパー(着せる毛布)を活用します。布団のように掛けるのではなく体に着せる形なので、顔を覆う心配が少ないです。布団のいちばんよい代わりです。選び方と着せ方は、スリーパーの選び方と着せ方に別にまとめてあります。
- 薄く何枚か重ねて着せます。厚い服一枚より、薄い服を何枚か重ねて状況に応じて一枚ずつ調節するほうが、過熱を防ぎやすいです。
- 部屋の温度を合わせます。部屋そのものを赤ちゃんにほどよい温度に保てば、あえて厚く掛けなくてすみます。月齢別のほどよい室内の温度・湿度が気になる方は、赤ちゃんの夜の眠りの温度と湿度の目安を参考にしてください。
赤ちゃんが暑くないかを確かめるのは、手足より胸や背中、うなじをさわるのが正確です。手足はもともと少し涼しいことが多いからです。背中がじっとりして汗ばみ、顔が赤くなったり息が速く見えたら、暑すぎるサインのことがあります。そんなときは一枚脱がせて、部屋の温度も下げてください。
バンパーガードやベッドの飾りは、本当に必要?
結論から言うと、バンパーガードはおすすめしません。きれいに飾られたベッドの写真の中のまわりのクッションが見慣れていて「あるべきもの」のように感じますが、安全の面では得より失が大きいです。
バンパーガードを置く理由は、ふつう頭がベッドの柵にぶつかるのを防ぐためです。ところが実際には、赤ちゃんの顔がクッションに押されて息苦しくなる窒息や、クッションとベッドのすき間に体が挟まる事故の危険のほうが大きいといわれます。頭を軽くぶつけるより、こちらのほうがずっと危険な状況です。
ベッドメリーや飾り、大きな愛着ぬいぐるみのように寝床を埋める物も同じです。眠る空間だけは かわいさより安全を先に置き、できるだけ空けておくのをおすすめします。飾りたい気持ちは、赤ちゃんが起きて遊ぶ空間のほうへ移してあげるとよいです。
鼻づまりや逆流があっても、傾斜寝は避けます
鼻が詰まったり何度も吐き戻したりで上半身を高くして寝かせたくなる気持ち、本当に分かります。でも鼻づまりや逆流を理由に上半身を高くしたり斜めに傾けて寝かせるのはおすすめしません。赤ちゃんが眠りの中でずり落ちると姿勢が崩れ、かえって危険になりえるからです。こんなときも原則は同じく背中をつけて平らにです。
代わりに、こうしてみることができます。
- 鼻づまり: 寝かせる前に生理食塩水を一、二滴入れて鼻の中をうるおし、必要なら鼻吸い器でやさしく取ってあげてください。部屋の湿度をほどよく保つのも助けになることがあります。
- 逆流: 授乳後にしっかりげっぷをさせ、少し縦に抱いて落ち着かせてから寝かせます。寝かせるときも上半身を高くせず、平らに背中をつけて寝かせます。
特定の睡眠補助器具や姿勢固定クッションがこうした問題を解決してくれると信じて寝床に置くのも注意が必要です。検証されていない器具は、かえって安全な睡眠の原則と食い違うことがあります。
こんなときは病院へ
安全な睡眠は環境を変える予防で、以下のサインは受診が必要な状況です。迷ったときはためらわず小児科の力を借りてください。
- 息苦しそうだったり、呼吸がとくに速く浅く見えるとき
- 唇や顔色が青白い、または青く見えるとき
- 熱が出たり、よく飲めずぐったりするとき
- 吐き戻しが繰り返す・強く、体重があまり増えないとき
- 鼻づまりが長引き、授乳や睡眠を大きく妨げるとき
とくに呼吸がおかしい、顔色が変わるのは早い受診が必要なサインです。いつもと違うと感じたら、親の直感を信じて確かめてもらうとよいです。
よくある質問
布団はいつから掛けてよい?
おおむね1歳以降から様子を見ながら慎重に始めるのをすすめることが多いです。ただし赤ちゃんごとに発達と動きが違うので、はっきり言い切るのは難しいです。時期を決めるときは小児科と相談して判断するのが安全です。それまでは布団よりスリーパーが安全な代わりです。
おくるみはいつまでしてよい?
赤ちゃんが寝返りを試み始めたら、おくるみはやめるのがよいです。腕が包まれたまま寝返ると、自分で姿勢を変えにくく危険なことがあるからです。寝返りのサインが見えたら、腕を自由にする形に替えるか中止してください。
赤ちゃんが眠っている間に自分でうつぶせになったら?
寝かせるときはいつも背中をつけて寝かせてください。ただし、赤ちゃんが自分で寝返りし、戻せるほど育ったあとに自分でうつぶせになるのは、毎回戻さなくてよいことが多いです。代わりにこの時期は寝床をよりしっかり空けておくことが大切です。寝返りが始まった赤ちゃんの寝床の安全は、百日ごろの早い寝返りと睡眠の安全で詳しく扱っています。
お昼寝も同じように守る?
はい、お昼寝も夜の眠りと同じです。少し寝かせるだけのお昼寝だからと、ソファやふかふかした場所に寝かせたり布団を掛けたりせず、夜の眠りと同じ安全な寝床に背中をつけて寝かせてください。
最後にまとめると
季節の変わり目の保温は、布団ではなくほかの方法で。要点は三つだけ覚えておけば大丈夫です。
- 背中をつけて、硬く平らな床に、寝床は空けて寝かせます。
- 布団の代わりにスリーパーを着せ、部屋の温度をほどよく合わせます。
- 過熱と傾斜寝は避け、鼻づまり・逆流には背中をつけて平らに寝かせつつ、生理食塩水・鼻吸いのような方法で助けます。
赤ちゃんを思う気持ちは慣れた保温法へ向きやすいですが、寝床でだけは空けておくことが、より大きな愛情かもしれません。今夜、赤ちゃんのベッドから一度見回してみてください。