新生児の頭のかたちの左右差セルフチェック|月齢別の目安と受診を考えるサイン
うちの子の後頭部が左右で違うけれど、これくらいは様子を見ていいの?位置的斜頭症と病的な斜頭症の見分け、おうちでできる頭のかたちセルフチェック、月齢ごとにいまできること、受診を考えるサインまで整理しました。
赤ちゃんを寝かせて、ふと上から見下ろしたとき、後頭部の片側がやけに平らに見えることがあります。反対側に寝かせても、すぐにもとの向きへ頭を戻してしまったり。「これくらいの左右差は問題ないのかな、いま何をしてあげればいいんだろう」と、心配になりますよね。
まずは、知っておくと少し安心できるお話から。あお向けで寝かせるようになってから、片側の後頭部が押されて生じる位置的な頭のかたちの左右差は、最近とてもよく見られます。そして、こうした姿勢によるかたちの左右差は、時期を逃さなければ、向きを変えてあげるだけで整っていくことが多いです。ただ、どのくらいの左右差なら受診したほうがよいのか目安がないと、かえって不安になりますよね。そこで、おうちでできるセルフチェックから、月齢ごとにいまできること、そして受診を考えたほうがよいサインまで、順番に整理していきますね。
うちの子の後頭部、どのくらいまでなら様子を見ていい?
まずは大きな流れから。姿勢によって生じた軽い左右差はよく見られますし、とくに生後数か月のうちに気づいて向きを変えてあげると、整っていくことが多いです。反対に、左右差がだんだん強くなってきたり、首が片側に傾くサインが一緒に見えたりする場合は、様子を見るより一度相談してみるとよいでしょう。
頭のかたちは、赤ちゃんが育つなかでかなりの部分がつくられていきます。頭蓋骨の成長のおよそ85%は、生後1年のうちに進むといわれます。裏を返せば、1歳になる前が、頭のかたちに働きかけやすい時期ということです。ですから「いまじゃないと遅いのかな」と焦るより、この時期のなかでできることを、落ち着いて続けていければと思います。
ひとつ、はっきりさせておきたいことがあります。どのくらいへこんでいれば「正常」で、どこからが「気になる状態」なのかを、おうちで数字できっぱり線引きすることはできません。セルフチェックは、赤ちゃんがいまどのあたりにいるか、そしていつ相談してみるとよいか、そのタイミングを見きわめるためのものです。病的な原因かどうかを見分けるのは、専門家の役割です。
姿勢によるもの?それとも別の理由?——まず2つを区別します
頭のかたちの左右差は、原因によって向き合い方が変わります。大きく、よく見られる姿勢によるものと、まれな病的原因とに分けて見ると、理解しやすくなります。
1. 位置的斜頭症(もっともよく見られます)
片側だけによく寝ていたり、頭をいつも同じ方向へ向ける癖があったりすることで、片側の後頭部が押されて平らになる状態です。上から見ると、頭が平行四辺形のように片側へずれたかたちになることもあります。あお向けで寝かせる習慣が一般的になり、もっともよく見られるかたちです。
2. 短頭症(後頭部全体が扁平)
片側だけでなく、後頭部全体が平らで広くなるかたちです。いつもまっすぐ天井を見てあお向けに寝ている赤ちゃんに見られることがあります。位置的斜頭症と原因は似ていますが、押される部位が異なります。
3. 病的な原因(まれですが、見分けが必要です)
頭蓋骨の縫合線が早く閉じてしまう頭蓋骨縫合早期癒合症のように、姿勢とは関係なく、骨そのものの問題でかたちが変わる場合があります。姿勢によるものよりずっとまれですが、向きを変えても整わない、あるいは額や顔まで左右差がはっきりしている場合は、この可能性を確認する必要があります。これは見た目だけで判断するのが難しいので、必ず受診で見分けます。
もうひとつ、斜頸(しゃけい)を併せもつ場合も見ておきたいところです。首の筋肉が片側で短くなり、頭がいつも同じ方向へ傾くと、その側ばかりで寝てしまい、左右差が生じたり強くなったりすることがあります。姿勢による左右差と斜頸は、よく一緒に扱われます。
おうちでできる頭のかたちセルフチェック
大げさな道具はいりません。赤ちゃんが落ち着いているときに、3方向からゆっくり見てみましょう。
- 上から(もっとも大切です): 赤ちゃんの頭の上側から、頭頂部を見下ろしてみてください。左右の後頭部が対称か、片側だけ平らか、頭全体が片側へずれたかたちになっていないかを見ます。
- 正面から: 顔を向かい合わせて、左右の耳の位置や前後の差、額の左右、目・頬の左右バランスを見ます。片方の耳がやけに前に出ていないかも、チェックポイントです。
- 後ろから: 後頭部のカーブが片側に偏っていないか、全体的に平らでないかを確認します。
このとき、一緒に見ておくとよいことがあります。
- 赤ちゃんがいつも同じ方向にばかり頭を向けたり寝たりしていないか
- 反対方向へ向けてあげるといやがったり、すぐにもとへ戻ってしまわないか
- 首を片側へ傾けたまま過ごす様子がよく見られないか(斜頸のサイン)
- 左右差が数週間前よりはっきりしてきていないか
一度見て判断するより、数日おきに同じ方向から見てみると、変化の向きがつかみやすくなります。
月齢ごとに、いま何をするとよい?
頭のかたちは、時期によって向き合うポイントが少しずつ変わります。大きく3つの区間に分けて見ていきますね。下は、時期ごとの目標と、おうちで気をつけたい点をまとめた表です。
| 月齢 | この時期の目標 | おうちでのセルフチェック | いまやってみるとよいこと |
|---|---|---|---|
| 0〜3か月 | へこみに早く気づく | 上・正面・後ろの3方向で観察、いつも同じ向きで寝ていないか | 寝る向き・頭の向きを変える、起きているときにタミータイム |
| 4〜6か月 | 姿勢ケアに集中、必要なら相談 | 左右差が続く・強くなっていないか、斜頸を伴うか | 姿勢ケアを続ける、整わなければ受診して相談 |
| 7〜12か月 | 座って動きながらへこみの負担を減らす | 残った左右差の程度、顔・額のバランス | 動く時間を増やす、残った左右差は専門家と方向を決める |
もう少し詳しく見ていきますね。
1. 0〜3か月 — 早く気づけたら、それが半分
この時期は、左右差に早く気づくことそのものが大きな助けになります。生後3か月より前に気づけば、向きを変えてあげるだけで整っていくことが多いからです。まだ頭の骨がやわらかい時期です。寝る向きと頭の向きをこまめに変えて、起きているときにうつ伏せで過ごす時間を少しずつ増やしてあげるとよいでしょう。
2. 4〜6か月 — 姿勢ケアに集中し、必要なら相談を
姿勢ケアをこつこつ続ける時期です。この頃になっても左右差がそのままだったり、むしろ強くなったりする場合は、ひとりで様子を見るより、小児科やリハビリテーション科で状態を確認してもらうとよいでしょう。あとでお話しするヘルメット治療を検討する時期とも重なります。
3. 7〜12か月 — 自分で動くようになり、負担が減っていきます
赤ちゃんが座ったり、はいはいしたり、動き始めると、片側の後頭部だけにかかっていた負担が自然と減っていきます。この時期は、動く時間を増やしてあげるのが助けになります。ただ、残った左右差をどう見るかは赤ちゃんによって差があるので、気になるところは専門家と一緒に方向を決めるとよいでしょう。
姿勢ケア、おうちではこんなふうにできます
特別な道具がなくても、日々の暮らしのなかで向きを変えてあげるだけで役立ちます。
- 寝る向きを変える: 寝ているときにいつも片側ばかり見ているなら、ベッドの位置や寝かせる向きを変えて、反対側に興味が向くよう誘ってみましょう。興味をひく音や光も、反対側から来るようにしてみてください。
- 起きているときのタミータイム: 赤ちゃんが起きていて、そばで見守れるときに、うつ伏せで過ごす時間を短く、こまめにとりましょう。後頭部にかかる圧を減らし、首の力を育てるのにも役立ちます。あお向けにするとすぐに目を覚ましてしまう赤ちゃんなら、背中をつけると起きる赤ちゃん、寝かしつけの習慣づけも一緒に参考にしてみてください。
- 抱く向きを変える: 授乳するときや抱っこするときも、いつも同じ姿勢だと片側にばかり刺激が偏ります。向きを交互に変えてあげましょう。
- 寝るときの姿勢: 睡眠はあお向けで寝かせつつ(うつ伏せ寝はおすすめしません)、起きている時間にへこみをやわらげるかたちでバランスをとります。よく寝ていたのに何度も目を覚ますようなら、よく寝ていたのに急にぐずる、ワンダーウィークスの時期も一緒に読んでみると参考になります。
ここでひとつ。ドーナツ型の枕のような、頭のかたちを整える枕は、効果がはっきりしているとはいいにくく、新生児の睡眠環境ではむしろおすすめされない場合があります。使う前には専門家に相談してからのほうが安心です。
ヘルメット治療はいつ考える?
姿勢ケアだけでは十分に整わないとき、次に話題になるのが頭のかたちを整えるヘルメットです。時期の感覚をつかんでおくと、焦りがやわらぎます。
ヘルメット治療は、ふつう生後3〜8か月ごろが適した時期とされます。なかでも5〜6か月ごろが、効果を期待しやすい時期といわれています。頭の骨が速く育つ時期のほうが、かたちを整えやすいからです。反対に、この時期を大きく過ぎると成長のスピードがゆるやかになり、効果も小さくなるといわれます。
ただし、すべての左右差にヘルメットが必要なわけではありません。軽い場合は姿勢ケアだけで整うこともあるので、「とにかくまずヘルメット」ではなく、赤ちゃんの状態に合わせて判断するのが先です。ヘルメットが必要な程度か、いつ始めるかは、受診を通して決めるとよいでしょう。
頭のかたちの変化は、目だけでは見のがしやすい
頭のかたちは、毎日見ているとかえって変化に気づきにくいものです。昨日と今日が似て見えるからです。だからこそ、数日〜数週間おきに同じ角度で写真を残しておくと、よくなっているのか、強くなっているのかがずっとはっきり見えてきます。正面・上・後ろの3方向を、同じ姿勢で撮っておくのがおすすめです。
こうした定期的な記録は、すくすくぱしゃに成長写真として残しておくと、時期ごとの頭のかたちの写真を一か所で見くらべられ、受診のときの参考資料としても役立ちます。記録が診断の代わりになるわけではありませんが、変化を見のがさないための「もうひとつの目」になってくれます。
こんなときは相談してみてください
多くの姿勢による左右差は姿勢ケアで様子を見られますが、次のサインが見えたら、小児科やリハビリテーション科に相談してみてください。
- 向きを変えても左右差がだんだん強くなっていく
- 首が片側に傾いていたり、反対に向けるのをいやがる(斜頸を伴う疑い)
- 後頭部だけでなく額や顔まで左右差がはっきりしている
- 頭のかたちが急に変わる、または縫合線のあたりがやけに出っぱっていたり触れたりする
- 生後4〜6か月を過ぎても姿勢ケアに反応がない
とくに病的な原因かどうかは、おうちで判断するのが難しいものです。上のサインがあったり、心配が続いたりする場合は、様子を見るより専門家に確認してもらうほうが、気持ちも落ち着きますし、時期も逃しません。
よくある質問
後頭部のへこみが心配で、うつ伏せで寝かせてもいい? 睡眠はあお向けで寝かせるのがすすめられています。へこみが心配なら、寝かせる姿勢ではなく、起きているときのタミータイムや、寝る向きを変えることでバランスをとるのがおすすめです。
頭のかたちを整える枕(ドーナツ枕)は効果がある? 効果がはっきりしているとはいいにくく、新生児の睡眠環境ではおすすめされない場合があります。使う前に専門家に相談してからのほうが安心です。
一度へこむと、一生そのまま? 必ずしもそうではありません。頭蓋骨の成長の多くは1歳になる前に進むので、この時期に姿勢を気にかけると整っていくことが多いです。ただ、赤ちゃんによって差があります。
気づくのが遅れました。もう7か月ですが、遅すぎる? あまり自分を責めないでくださいね。時期によって向き合い方が変わるだけです。いまの状態で何ができるかは赤ちゃんによって差があるので、専門家と一緒に方向を決めるとよいでしょう。
最後にまとめると
片側の後頭部が押される姿勢による左右差はよく見られ、早く気づいて向きを変えてあげると整っていくことが多いです。おうちでは上・正面・後ろの3方向で見て、いつも同じ向きにばかり寝ていないか、斜頸のサインはないかを確認してみてください。頭蓋骨が速く育つ1歳前の時期のなかで、寝る向きを変えることとタミータイムをこつこつ続けるのが大切です。
左右差がだんだん強くなる、首が片側に傾く、額や顔まで左右差がはっきりしている——そんなときは、小児科・リハビリテーション科に相談してみてください。セルフチェックは答えを出すためのものではなく、いつ助けを借りるとよいか、そのタイミングをつかむための「方位磁針」です。