歯ぐずり?かぜ?赤ちゃんの熱の原因を見分ける方法
赤ちゃんが熱を出してぐずるとき、歯ぐずりかかぜか迷いますよね。よだれ・歯ぐき・微熱が中心なら歯ぐずり、38℃を超える熱に鼻水・せき・嘔吐・ぐったりが一緒なら感染症のサインです。症状の比較表、歯ぐずりではないサイン、生後3か月未満はすぐ受診という目安まで整理しました。
よだれをたくさん流し、何でも口に入れてかむ赤ちゃんを見ると「あ、歯ぐずりが始まったかな」と思う一方で、体が温かくなってぐずり出すと「もしかしてかぜ?」と気になってしまいますよね。歯ぐずりが始まる生後6か月から1歳ごろは、お母さんからもらった免疫が減って、ちょっとした感染症も増えてくる時期。だから2つが重なって見えやすいのです。
まず押さえておきたい目安は、熱の高さです。歯ぐずりは、よだれ・歯ぐきの腫れ・物をかむ・ぐずり、そして少し温かい程度の微熱までは起こすことがありますが、38℃を超える本当の熱は出さないと考えられています。逆に、鼻水・せきに加えて38℃以上の熱が一緒に出るなら、かぜのような感染症のサインである可能性が高くなります。「歯が生えるから熱が出るのだろう」と片づける前に、熱がどのくらい高いか、ほかの症状も一緒にあるかを見てあげてください。
覚えておくと安心な目安もあります。生後3か月未満の赤ちゃんが発熱したら、原因を考える前にすぐに受診してください。それ以降でも、38℃以上の熱でぐったりしたり、うまく飲めなかったりするときは小児科で確認するとよいでしょう。歯ぐずりかどうかは、以下でひとつずつ見ていきます。
歯ぐずりとかぜ、症状はどう違う?
2つを分けるカギは、症状が出る場所です。歯ぐずりはよだれ・歯ぐき・口のまわりに集まって出るのに対し、かぜのような感染症は鼻水・せき・発熱・消化器症状のように全身に広がりやすいのが特徴です。どちらに症状が集まっているかを見ると、方向を見当づけやすくなります。
| 項目 | 歯ぐずりのときによく見られる様子 | かぜ・感染症のときによく見られる様子 |
|---|---|---|
| よだれ | よだれが目立って増え、あご・胸がよく濡れます | 増えることも、そうでないことも |
| 歯ぐき・口 | 歯ぐきが腫れてむずがゆく、物をよくかみます | 大きな変化は少なめ |
| 熱 | 少し温かい微熱、たいてい38℃未満 | 38℃以上になることもあります |
| 鼻水・せき | たいていありません | 鼻水・鼻づまり・せき・くしゃみがよくあります |
| 消化器 | たいていありません | 嘔吐・下痢を伴うこともあります |
| 全身の様子 | ぐずってもまずまず遊んで飲みます | ぐったりして、いつもより飲まないことも |
| そのほか | 同じ側の耳・ほおを触る、口まわりの発疹、寝ぐずり | のどの痛み、目やに、熱感など全身に広がる |
表のように、歯ぐずりは口まわりの局所的なサインが多く、感染症は鼻・のど・おなか・全身へ広く広がります。ただ、歯ぐずりの時期と感染症の時期が重なるため、2つが同時に来ることもあります。ですから「よだれが出てぐずるから歯ぐずりに違いない」と決めつけず、熱やほかの全身症状が一緒にあるかを必ず一緒に見てあげてください。
熱が38℃を超えるかが、いちばん大きな分かれ道
いくつものサインの中でも、方向を最も大きく分けるのは熱の高さです。歯ぐずりで上がるのは少し温かい程度の微熱までで、38℃を超える熱は歯ぐずりだけでは説明しにくいというのが、米国小児科学会をはじめ多くの小児科情報で共通して言われていることです。熱が高いなら、歯ではなくほかの原因も一緒に探すべき、という意味です。
体温はだいたいこう分けて見ます(わきで測った目安)。37.3℃以上で微熱、38℃以上で受診をすすめる発熱、39℃以上で高熱とされます。歯ぐずりで赤ちゃんがいつもより少し温かくなることはあります。でも体温計で38℃以上なら、歯ぐずりのせいにしないほうが安心です。「歯が生えるからかな」と様子を見ているうちに感染症の初期を見逃すと、赤ちゃんがもっとつらくなることがあるからです。
ここで1つの誤解にも触れておきます。「歯ぐずりだから熱が出ても大丈夫」という言い方は、安全な目安ではありません。歯ぐずり自体が高い熱を作らないからこそ、熱が高いことは、むしろほかの理由を確認すべきサインに近いのです。この点は歯ぐずりについてよくある誤解 →でくわしく解説しています。
歯ぐずりなら出ないサインがあります
次の症状は、歯ぐずりだけではうまく説明できないサインです。こうした様子が見えたら歯ぐずりと片づけず、感染症やほかの原因かもしれないと考えて見てあげてください。いくつも重なったり、赤ちゃんが特につらそうなら小児科で確認しましょう。
1. 38℃を超える熱や、なかなか下がらない熱
先に見たように、38℃以上の熱は歯ぐずりだけとは考えにくいものです。熱が1日以上続いたり、上がったり下がったりを繰り返すなら、原因を別に確認するとよいでしょう。
2. 下痢や繰り返す嘔吐
よだれをたくさん飲み込んで便がゆるくなる程度と、本当の下痢は違います。水のような便が続いたり、よく吐いたりするなら、歯ぐずりよりも消化器の感染症などを一緒に考えたほうがよいでしょう。脱水につながることがあるので、特に注意が必要です。
3. ぐったりして、いつものように遊んで飲めないとき
歯ぐずりの赤ちゃんは、ぐずってもだいたい遊んで飲みます。逆に、目立ってぐったりし、反応が減り、うまく飲めず眠れもしないなら、歯ぐずりだけの様子とは考えにくくなります。
4. ひどい鼻水・せきや、全身の発疹
鼻水・鼻づまり・せきがはっきりしていたり、体全体に発疹が広がったりするなら、感染症のサインに近いものです。歯ぐずりで出る口まわりの小さな発疹とは範囲が違います。
いつ小児科へ行くべき?
いちばん迷うのは「家で様子を見ていいのか、受診すべきか」ですよね。はっきり言い切るのは難しいのですが、赤ちゃんの月齢・熱の高さ・全身の様子を目安にすると判断の助けになります。次のサインが見えたら、歯ぐずりか迷うより先に受診するほうが安心です。
- 生後3か月未満の赤ちゃんが発熱したら、原因を問わずすぐに受診してください。この時期は熱そのものを急を要すると考えます。
- 生後3か月以降でも、38℃以上の熱でぐったりしたり、うまく飲めなかったり、いつもと明らかに違うときは小児科で確認しましょう。
- 熱が3日以上続いたり、下がってまた上がるのを繰り返すとき。
- 繰り返す嘔吐・下痢、尿が目立って減る、口が乾くなど脱水が疑われるとき。
- 呼吸が苦しそう、けいれんがある、起こしても反応が鈍いなど、赤ちゃんが特につらそうに見えるとき。
熱をどう見分けて対応するかは、季節の感染症ともつながります。夏の冷房による不調のように見える症状とかぜを見分ける話は、冷房による不調?夏かぜ?赤ちゃんの症状を見分ける →で一緒に読めます。いずれの場合も、解熱剤や民間療法を自己判断で使うより、熱が高いときや赤ちゃんがつらそうなときは小児科と相談して対応を決めるのが安心です。
よくある質問
歯が生えるときに少し熱が出るのは、そのままでもいい?
少し温かい程度の微熱で、赤ちゃんがいつものように遊んで飲んでいるなら、涼しく着せて様子を見ることができます。ただ、体温計で38℃を超えたり、ぐったりする様子があれば、歯ぐずりと片づけず確認するほうが安心です。赤ちゃんによって差があるので、迷うときは相談をおすすめします。
歯ぐずりとかぜが同時に来ることもある?
はい、時期が重なるため同時に来ることもあります。ですから、よだれ・歯ぐきの症状があるからといって、感染症の可能性を先に消してしまわないほうがよいでしょう。熱や全身症状が一緒にあれば、2つが重なったかもしれないと考えて見てあげてください。
よだれのせいで便がゆるくなることもある?
よだれをたくさん飲み込むことで、便がいつもよりやわらかくなることがあると言われます。ただ、水のような便が続いたり回数が大きく増えたりするなら、歯ぐずりより消化器の問題かもしれないので、脱水のサインと一緒に見守り、ひどければ受診してください。
解熱剤を飲ませてもいい?
熱があるときに薬を使うか、どの薬をどのくらい使うかは、赤ちゃんの月齢や状態によって変わるため、自己判断で決めるのは難しいものです。特に月齢が小さいほど、小児科や薬剤師と相談して決めるのが安心です。
最後に整理すると
歯ぐずりは、よだれ・歯ぐきの腫れ・物をかむ・ぐずり、そして少し温かい微熱までは起こすことがありますが、38℃を超える本当の熱や、鼻水・せき・嘔吐・下痢・ぐったりは歯ぐずりだけでは説明しにくいものです。だからこそ、熱がどのくらい高いかと、ほかの全身症状が一緒にあるかを一緒に見ることが見分けのカギになります。
何より、生後3か月未満の赤ちゃんの熱は、原因を考える前にすぐに受診を。それ以降でも、38℃以上の熱でぐったりしたり脱水が疑われたりするときは小児科で確認してください。「歯が生えるからだろう」という自己判断で感染症のサインを見逃さないこと。赤ちゃんによって差があるので、迷うときは一人で判断せず受診するのが、いちばん安心できる方法です。