夏のベビーカーの日差し、こう遮りましょう|風を止めずに安全に日陰をつくる方法

夏のベビーカーの日差しを、風は通したまま直射日光だけを遮る安全な方法をまとめました。フード・通気性のある日傘・時間帯・服装・水分まで、そしてぬれタオル・携帯扇風機・保冷剤のようにかえって危険な方法や、熱に関する危険なサインもあわせてお伝えします。

真夏にベビーカーを押して出かけると、いちばん気になるのが赤ちゃんの顔に照りつける日差しですよね。そこで、薄い布やハンカチをベビーカーの上にさっとかけて日陰をつくる方がとても多いです。その気持ちはよくわかるのですが、じつはこの方法は赤ちゃんを涼しくするどころか、ベビーカーの中をかえってずっと暑くしてしまうことがあります。

まず大きな原則から短くお答えします。夏のベビーカーの日差しは「風は通して、直射日光だけを遮る」のが肝心です。布でベビーカーを丸ごと覆って空気を止めてしまうと、内側に熱がこもって温度が一気に上がってしまうからです。ですから、風が出入りする状態を保ったまま、日差しだけをよけられる方法を選ぶのがコツです。

この記事では、風を止めずに日陰をつくる方法、暑さそのものを避けるコツ、そしてかえって逆効果になりがちな失敗と危険なサインまで、一つずつ整理してお伝えします。なぜ布のカバーがそんなに危ないのか、その仕組みが気になる方は夏のベビーカーに布カバー、なぜ危ないのでくわしく扱っています。この記事は「では、どう遮ればいいのか」に集中しますね。

なぜ風を通すことが先なのでしょう

方法に入る前に、原則を一つだけおさえておきますね。夏の暑さから赤ちゃんを守る肝心なところは、日陰そのものよりも空気がめぐる状態を保つことです。小さな赤ちゃんは大人より体温を調節する力がまだ未熟なので、狭く閉じた空間に熱がこもると、体温が急に上がってしまうことがあるからです。

問題は、私たちがつい行いがちな「布カバー」が、まさにこの風を止めてしまう点です。薄く見える布でも、ベビーカーを丸ごと覆うと内側の空気が抜けられずに温度が上がり、赤ちゃんの様子を目で確かめることも難しくなります。ですから、よい日よけの方法はどれも「片側の直射日光だけを遮り、残りは開けておく」という共通点を持っています。

整理するとこうです。日差しを遮ることと、風を止めることは別の話です。私たちがしたいのは前のほうだけです。これから紹介する方法は、すべてこの原則の上で選んだものです。

風を止めずに日陰をつくる方法

では、実際にどう遮ればよいのでしょう。空気の流れを保ちながら直射日光だけをよける方法を整理すると、こうなります。

1. ベビーカーのフード(日よけ)をできるだけ広げる

まず、いちばん簡単な方法です。ほとんどのベビーカーには、たたんだり広げたりできる日よけフードがついています。このフードを日の当たる方向へできるだけ引き下げると、前後は開いているので風はそのまま通りながら、赤ちゃんの顔に落ちる直射日光だけを遮れます。追加で何かを買わなくてよいうえに風をまったく止めないので、いちばん基本になる方法です。日の位置が変わったら、フードの角度もそのつど動かせば大丈夫です。

2. 通気性のあるUV日傘やクリップ式パラソルを使う

フードだけでは足りないときは、ベビーカーに留めるクリップ式パラソルや紫外線カットの日傘を足すとよいです。これは日の当たる片側だけを遮り、残りの面は開いているので、日陰を広げながら前後の風は保てます。選ぶときは紫外線カット(UV)の素材かどうかを見て、日の向きに合わせて角度を調節できる製品だとより便利です。このときも、パラソルがベビーカー全体を覆って密閉する形にならないよう、あくまで「片側の日よけ」として使うのがポイントです。

3. メッシュ素材のカバーは限定的に

風が通るメッシュ素材のカバーもあります。完全にふさがった布よりはよいのですが、これもベビーカー全体を包むと、結局は空気の流れをある程度は弱めてしまいます。ですからメッシュのカバーを使うときも完全な密閉は避け、なによりもベビーカーの中の温度をこまめに確かめることを忘れないでください。手をベビーカーの内側に入れてみて、むっとするようなら、カバーを外して日陰や涼しい場所へ移すのが先です。メッシュだからと安心して長く覆ったままにすることだけは、避けてくださいね。

日差しと同じくらい大事な、時間帯・服装・水分

日よけに劣らず大事なのが、「いつ、どんな格好で、どれだけ短く出かけるか」です。どんなによく遮っても、日中の炎天下に長くいれば暑さは避けにくいからです。お出かけそのものを組み立てるコツを整理してみました。

日中の時間帯は避ける。日差しと気温がもっとも強い時間は、だいたい午前11時から午後3時のあいだです。この時間帯のお出かけはできるだけ減らし、朝や夕暮れどきに時間を移すのがよいです。出かけるときも、アスファルトではなく木陰のある道や室内を選んで通ると、体感の暑さがぐっと減ります。

薄くゆったりした服とつば付き帽子。風がよく通る薄い綿素材でゆったり着せると、汗が乾いて熱を冷ますのに役立ちます。つばのある帽子で顔に日陰を足してあげるのもよいです。ただし生後6か月未満の赤ちゃんは皮膚が薄く、直射日光そのものを避けるのが原則なので、日焼け止めに頼るより、日陰・服・帽子といった物理的な方法で遮ってあげるほうが安全です。

水分はこまめに。暑い日は普段より水分が多く必要です。生後6か月以上の赤ちゃんには水を、それ未満には母乳やミルクを、普段よりこまめにあげてください。そして暑い日のお出かけは、最初から短く計画するのがいちばん確実な予防です。

ベビーカーの中の温度をこまめに確かめる。歩いている合間にベビーカーの中に手を入れて温度を見て、赤ちゃんの首すじや背中に汗を多くかいていないか、顔が赤くなりすぎていないかをこまめに見てあげてください。赤ちゃんは言葉で暑いと言えないので、親が代わりに確かめてあげるこの習慣が、どんな日よけよりも頼りになります。

つば付きの夏帽子をかぶり、薄い半ズボン姿でベビーカーに座る赤ちゃん

安全な方法とかえって危険な方法、ひと目で比較

言葉で説明したことを表に整理すると、こうなります。同じ「涼しくしてあげたい」行動でも、風を通すか止めるかで結果が分かれます。

夏のベビーカーの日陰、安全な方法と避けたい方法の比較図:安全はフードを広げて直射日光だけ遮る・一方向の通気性日傘・日中を避けて日陰へ、危険は布で丸ごと覆う・ぬれタオルをかける・扇風機を顔に直接・保冷剤を素肌に直接
場面安全な方法避けたい方法
直射日光を遮るフードを広げる、一方向の通気性日傘・パラソル布・ハンカチでベビーカーを丸ごと覆う(密閉)
カバーの使用メッシュのカバーを限定的に+温度をこまめに確認密閉する布カバーを長くかけたままにする
温度を下げる日陰・室内へ移動、日中のお出かけを避けるぬれタオルをカバーのようにかける
涼しい風日陰で自然に風を通す、短いお出かけ携帯扇風機の風を顔に長く直接あてる
冷感アイテム必要なら薄い布の上からだけ、短く冷感マット・保冷剤を素肌に直接あてる

よかれと思ってかえって逆効果になる方法

涼しくしてあげたい気持ちからする行いなのに、結果として赤ちゃんをより苦しくさせてしまう方法があります。次の三つはとくによくあるので、別に取り上げておきますね。

ぬれタオルをカバーのようにかける。水にぬらしたタオルをベビーカーの上にかけると涼しそうに思えますが、結局は空気の流れを止めて、内側に熱と湿気を閉じ込めてしまいます。さきほど見た密閉の布カバーと同じ問題が起きるわけです。ぬれタオルを使いたいなら、カバーとしてではなく、赤ちゃんの首すじをそっとふいてあげる程度に使うほうがよいです。

携帯扇風機の風を顔に長く直接あてる。暑い日に携帯扇風機そのものが問題なのではありませんが、熱い外の空気を顔にずっと直接あて続けると、かえって水分を奪って皮膚や口の中が乾くことがあります。使うとしても赤ちゃんの顔から距離をとり、まわりの空気を循環させる程度に、少しずつ使ってあげてください。

冷感マット・保冷剤を素肌に直接あてる。冷感マットや保冷剤を赤ちゃんの肌に直接ふれさせると、冷たいものに長くふれて低温やけどを負うことがあります。どうしても使うなら薄い布やカバーで一枚くるみ、短くだけ使いながら、赤ちゃんが不快そうにしていないか見てあげてください。

日陰の屋外ベンチで赤ちゃんを抱き、哺乳瓶で水分をあげる親

こんなサインが見えたら、すぐ涼しく、そして受診を

いちばん大切なところなので、別にまとめておきます。夏のお出かけ中に赤ちゃんへ次のサインが見えたら、暑さにまいっているというサインのことがあります。ためらわず日陰や涼しい室内へ移し、服をゆるめて水分をあげてください。

  • 顔が赤くなりすぎる、または反対にぐったりして反応がにぶいとき
  • いつもと違ってひどくぐずる、または力なくぐったりするとき
  • たくさん汗をかいていたのに、急に汗が出にくくなり皮膚が熱いとき
  • あまり飲まず、おしっこが目に見えて減るとき(脱水が疑われるとき)

こうして涼しくしてあげても様子がよくならない、あるいは熱が上がって嘔吐・ぐったりがいっしょに見えるなら、急いで受診してください。とくに赤ちゃんがなかなか起きない、またはぐったりして反応がほとんどなく、息をするのが苦しそう、けいれんがあるなら、ためらわず119番や救急へ連絡してください。そして生後3か月未満の小さな赤ちゃんは、熱があるだけでも早めに病院を受診するのが安全です。小さな赤ちゃんは様子がすぐに変わることがあるので、ほかの症状を待つより、早めに確かめるほうがよいです。

夏のお出かけ前に、何を用意して何に気をつけるかを一度に点検したいなら、夏のベビーカーお出かけ 暑さ安全チェックリストもあわせて参考にしてみてください。

よくある質問

Q. 風さえ通れば、カバーをかけても大丈夫ですよね?
完全にふさがった布より、メッシュのように風が通る素材のほうがよいのは確かです。ただ、どんなカバーでもベビーカー全体を包むと空気の流れは減ります。ですからカバーを使うときも完全な密閉は避け、ベビーカーの中の温度をこまめに確かめるのが原則です。いちばん安全な組み合わせは、カバーで全部覆うより、フードと一方向の日傘で直射日光だけを遮るほうです。

Q. 日傘まで持っていくのは大げさかなと思ってしまいます。
まったくそんなことはありません。風を通しながら日陰をつくるいちばん安全な方法の一つが、一方向の日傘やパラソルなのです。布で丸ごと覆うよりずっとよく、日の向きだけを遮るので赤ちゃんの様子もずっと目で見られます。

Q. 何時ごろに出かけるのが、まだましでしょう?
日差しと気温がもっとも強い午前11時〜午後3時のあいだはできるだけ避け、朝の早い時間や夕暮れどきに移すのがよいです。同じ時間でも、日陰の道や室内を選んで通ると体感の暑さがだいぶ減ります。

Q. 生後何か月から外に連れて出てよいですか?
決まった日づけをきっぱり言うのは難しく、赤ちゃんの様子とその日の天気をあわせて見る必要があります。ただ、小さな赤ちゃんほど暑さと直射日光に弱いので、真夏の日中のお出かけは短くし、日陰を中心に通ってあげてください。とくに6か月未満は、直射日光そのものを避けるのが原則です。

最後にまとめると

夏のベビーカーの日差しは「風は通して、直射日光だけを遮る」のが肝心です。布で丸ごと覆って密閉するのではなく、フードを広げ、一方向の通気性のある日傘やパラソルで日差しだけをよけてあげてください。メッシュのカバーを使うときも完全な密閉は避け、温度をこまめに確かめましょう。日中のお出かけは減らして日陰の道を、薄くゆったりした服とつば付き帽子で、水分はこまめにあげてください。ぬれタオルのカバー、顔に長くあてる扇風機の風、素肌にふれる保冷剤は、よかれと思ってもかえって逆効果になることがあるので避けてください。そして顔が赤くなる、ぐったりするなど暑さにまいったサインが見えたらすぐ涼しくしてあげ、よくならない、または小さな赤ちゃんが熱を出したら、急いで受診してください。