夏のベビーカー熱中症予防チェックリスト|外出の前・中・後、これだけは

夏に赤ちゃんとベビーカーで出かけるとき、熱中症を防ぐ安全のコツを外出の前・中・後に分けて、一枚のチェックリストにまとめました。密閉するカバーがなぜ危ないのか、ベビーカーの中の温度の確かめ方、そしてすぐ病院へ向かうべき危険なサインまでお伝えします。

真夏に赤ちゃんをベビーカーに乗せて出かけるとき、心のどこかがいつもそわそわしますよね。「この暑さのなか連れ出して大丈夫かな? ベビーカーの中はどれくらい暑いんだろう? 日ざしはどうやってさえぎろう?」とくにまだ小さい赤ちゃんほど、心配は大きくなるものです。

まず大きな流れから短くお答えすると、こうです。夏のベビーカー外出のポイントは、日中の強い日ざしの時間帯を避けること、ベビーカーの中に風を通すこと、赤ちゃんの様子をこまめに見ることの三つです。とくによくやりがちな「薄い布をかければ日かげになって涼しいだろう」は、むしろ逆のことがあります。布が風をさえぎって、ベビーカーの中がかえって熱くなるからです。

以下では、なぜ夏のベビーカーをとくに気をつけたほうがよいのか、そして外出の前・中・後で何を用意すればよいのかを、一枚のチェックリストにまとめてお伝えします。赤ちゃんがつらそうにしている危険なサインと、こういうときは病院へ、という目安まであわせて入れました。子どもによって暑さの感じ方は違うので、ここの内容は参考としてご覧いただき、様子が心配なときは受診してください。

夏の半袖姿でベビーカーに座り、外をながめる赤ちゃん

夏のベビーカー、なぜとくに気をつけたほうがよいの?

まず知っておくとよいことがあります。赤ちゃんは大人より暑さにずっと弱いのです。体のわりに体表面積が広いので外の熱を早く受け取りやすく、汗で熱を逃がす働きもまだ未熟だからです。だから大人には耐えられる天気でも、赤ちゃんには負担になることがあります。だいたい気温が27度くらいから赤ちゃんは暑さを感じはじめ、32度を超える日中の屋外は、とくに気をつけたい環境と考えます。

ここにベビーカーならではの条件が一つ加わります。ベビーカーは地面に近いのです。真夏のアスファルトや歩道のブロックは熱せられて放射熱を上へ放ちますが、大人の顔の高さより、ベビーカーの高さのほうがずっと熱いことがあります。大人は涼しく感じても、赤ちゃんが座っている場所はそうでないことがある、ということです。

なにより、赤ちゃんの熱中症は進行が早いことがあります。はじめは少しぐずるくらいから始まっても、短い時間のうちにぐったりして、様子が悪くなることもあります。だから「ちょっと暑いくらい」と流すより、はじめから暑い時間と熱い環境を避け、赤ちゃんの様子をこまめに確かめるのが、いちばん確実な予防です。ちなみに生後6か月未満の小さな赤ちゃんは、直射日光そのものを避けるのがよいでしょう。

外出の前 — 出かける前に、まずこれを用意して

ドアを出る前にいくつか確かめておくと、ずっと安心です。夏の外出は、出かける前の準備ですでに半分が決まるからです。

  • まず時間帯を確かめて。一日のうちいちばん暑い午前11時から午後3時のあいだは、できるだけ避けるのがよいです。どうしても出かけるなら、早朝や日暮れどきに時間をずらしてみてください。
  • 服は薄く通気性よく、つば付き帽子は必須。汗をよく吸う薄い綿の服一枚で十分です。何枚も重ね着させず、日ざしをさえぎるつばの広い帽子をかぶせてあげてください。
  • 水や授乳を前もって用意。暑い日はふだんより水分が多く必要です。母乳・ミルクを飲む赤ちゃんなら授乳の準備を、水を飲む時期なら水を用意して、少しずつこまめにあげられるようにしておいてください。
  • ベビーカーのフードと通気性のある日傘を活用。ベビーカーについている日よけ(フード)を十分に広げ、風の通る日傘や紫外線カット素材をあわせて使うとよいです。そのかわり、あとで説明する「密閉される布のカバー」は用意しないでください。
  • 目的地に日かげや屋内があるか前もって確認。途中で暑さをしのげる日かげ、ちょっと入れる屋内やカフェのある道すじを前もって描いておくと、ずっとゆとりがあります。

日ざしを安全にさえぎる方法で迷ったら、夏のベビーカー、日ざしはこうやってさえぎってにもっとくわしくまとめてあります。

外出の中 — 通気と温度をずっと見守って

出かけたあとも、いくつかをずっと気にかけてあげるとよいです。夏の外出でいちばん大切なのは、「風を通す」ことと「赤ちゃんの様子をこまめに見る」ことの二つです。

まっさきに強調したいのは、ベビーカーを薄い布で完全におおわないことです。日ざしをさえぎろうと、毛布やハンカチをベビーカーの上にかける方が多いのですが、これが風の通り道をふさいで、内側の温度を大きく上げてしまうことがあります。実際に、薄い布をかける前は約22度だったベビーカーの中が、布をかけると30分で約34度、1時間後には約38度まで上がったという実験の報道もありました。特定の日・条件で出た値なので、いつも同じように再現されるわけではありませんが、通気をふさぐカバーが熱を閉じ込める、という方向ははっきりしています。見た目は日かげになって涼しそうでも、中は蒸し風呂になりうる、ということです。この点はベビーカーの布カバー、涼しそうでも危ないことがありますでさらにくわしく扱いました。

そのほか、歩いているあいだにこんなことを気にかけてみてください。

  • 日かげの道を通って。同じ距離でも、木かげのある側、建物の影がかかる側に道すじをとると、体感の温度がぐっと変わります。
  • ベビーカーの中の温度を手で確かめて。ときどきベビーカーの内側に手を入れてみてください。シートが熱っぽい、空気がむわっとするなら、日かげへ移すか、少し屋内に入って冷ましてあげてください。
  • 熱せられた地面は避けて。日中のアスファルトの駐車場、横断歩道の上、コンクリートの広場のように放射熱が強い場所は、長くとどまらず、さっと通りすぎるのがよいです。
  • 水分は少しずつこまめに。一度にたくさんより、少しずつこまめがよいです。赤ちゃんがのどが渇いていそうに見えなくても、暑い日はふだんより多く機会をあげてください。
  • 赤ちゃんの表情と首・背中をこまめに見て。顔がとくに赤くなっていないか、反対に青白くないか、首すじや背中に汗がびっしょりか、反対に体は熱いのに汗が出ていないかを見てあげてください。
夏の外出中、日かげで赤ちゃんに哺乳びんで水分をあげる様子

外出の後 — 帰ってきて体温を落ち着かせて

家や屋内に帰ってきたあとの締めくくりも大切です。外で上がった体温を、やさしく下げてあげる段階です。

  • 涼しいところで服をゆるめてあげて。涼しい屋内に入って上着や帽子を脱がせ、汗をかいていたら乾いた服に着替えさせて、体が落ち着いて冷めるようにしてあげてください。
  • 水分を補って。授乳や水で、抜けた水分を満たしてあげてください。
  • コンディションをもう一度見て。よく遊び、いつもどおり飲んで寝るなら、たいていうまく乗りきれています。反対にぐったりしたり、ずっとぐずったり、体が熱っぽい状態が続くなら、下の危険なサインを確かめてください。

エアコンの風が赤ちゃんに直接長く当たらないようにだけ気をつければ、涼しい屋内でゆっくり体温を落ち着かせるのがいちばんよいです。

夏のベビーカー安全、一枚にまとめると

外出の前・中・後で用意することを、ひと目で見られるようまとめました。出かける前にざっと見ていただけるよう、チェック欄も入れておきました。

夏のベビーカー安全 外出の前・中・後チェックリスト図
段階チェック項目確認
外出の前日中(11〜15時)の強い日ざしの時間帯を避ける
外出の前薄く通気性のよい服一枚 + つばの広い帽子
外出の前水・授乳を前もって用意(少しずつこまめにあげられるよう)
外出の前ベビーカーのフード・通気性の日傘を用意(密閉する布カバーはX)
外出の前目的地の日かげ・屋内の道すじを確認
外出の中ベビーカーを布で完全におおわない(通気を保つ)
外出の中日かげの道を通る
外出の中ベビーカーの中の温度を手でこまめに確認
外出の中熱せられたアスファルト・駐車場など放射熱の強い場所を避ける
外出の中水分を少しずつこまめに + 赤ちゃんの表情・首・背中をこまめに見る
外出の後涼しいところで服をゆるめ・乾いた服に
外出の後水分を補ってコンディションを観察

こんなサインが見えたら、すぐに対処して受診を

夏の外出でいちばん大切な部分なので、別にまとめました。赤ちゃんが暑さでつらいときに現れることのあるサインです。下の項目だけ覚えておいてください。

  • 顔がとくに赤くなる、または反対に青白くなるとき
  • 体は熱いのにぐったりして、反応がにぶいとき
  • ひどくぐずる、または反対にぐったりしてしきりに眠りに落ちるとき(傾眠)
  • うまく飲めない、または吐くとき
  • おしっこの量が目に見えて減り、脱水が疑われるとき

こうしたサインが見えたら、まず日かげや涼しい屋内へ移し、上着を脱がせて体を冷ましながら、水分を少しずつあげてみてください。それでも様子がよくならない、ぐったり・嘔吐・反応の低下が続くなら、ためらわず受診してください。赤ちゃんの熱中症は先に述べたとおり進行が早いことがあるので、あいまいだと思うときは早めに助けを求めるほうが安心です。

とくに生後3か月未満の小さな赤ちゃんは、熱が上がること自体を軽く流さないでください。この時期の赤ちゃんは様子がすぐに変わることがあるので、発熱があればほかの症状を待つより、早めに受診するのがよいでしょう。

よくある質問

Q. 携帯用の扇風機をベビーカーにつけてあげると涼しくないですか?
少しずつ使うのは役立つことがありますが、一か所に固定して長く風を当てるのはおすすめしません。熱い風が当たり続けると、かえって水分が早く乾き、肌が乾燥することがあるからです。通気を助ける程度に短く使い、赤ちゃんの顔に直接長く向けないようにしてください。指がファンに触れない構造かどうかも確かめておくとよいです。

Q. ベビーカーに保冷剤やクールマットを敷いてあげてもいいですか?
冷たいものが赤ちゃんの体に直接長く触れると、冷たすぎることがあります。使うとしても薄い布で包み、赤ちゃんの肌に直接触れないよう、シートの下のほうに置く程度が安全です。なにより、冷却グッズに頼るより、時間帯と通気、水分を用意することが先です。

Q. くもりの日なら日中に出かけても大丈夫ですか?
雲がかかっても、気温と湿度が高ければ暑さの負担はまだ残ることがあります。紫外線は少し弱まることがありますが、熱そのものが消えるわけではないからです。くもりの日でも、ベビーカーの中の温度と赤ちゃんの様子を同じように見てあげてください。

Q. 赤ちゃんがベビーカーで眠ってしまったのに暑そうです。起こすべきですか?
よく眠っている赤ちゃんをわざわざ起こす必要はありませんが、眠っているあいだにも熱は上がることがあります。日かげへ移し、上着をゆるめてから、顔が赤い、体が熱っぽいかをときどき確かめてください。汗がびっしょり、ぐったりして見えるなら、涼しいところで見てあげてください。

最後にまとめると

夏のベビーカー外出のポイントは三つです。日中の強い日ざしの時間帯を避けること、ベビーカーの中に風を通すこと、赤ちゃんの様子をこまめに見ること。とくに薄い布でベビーカーをおおうと、涼しそうに見えても内側の温度が大きく上がることがあるので、密閉されるカバーは避けてください。出かける前は時間帯・服・帽子・水分・フードを用意し、歩くあいだは日かげの道と通気・温度の確認を、帰ってきたら涼しいところで服をゆるめて水分を満たし、体温を落ち着かせればよいです。そして顔色の変化、ぐったり、ひどいぐずりや傾眠、飲めない・嘔吐、おしっこの減少といったサインが見えたら、すぐに涼しくして受診してください。生後3か月未満なら、発熱だけでも早めに病院を訪ねるほうが安心です。

ベビーカーの布カバー、涼しそうでも危ないことがあります
夏のベビーカー、日ざしはこうやってさえぎって