赤ちゃんが熱を出したとき、家での対処の順番と受診のサイン
赤ちゃんが熱を出したとき家ですることを、服・水分・ぬるま湯・解熱剤の判断・見守りの順に整理しました。解熱剤は体重を基準に、3か月未満の高熱のようにすぐ受診すべきサインまで盛り込みました。
夜、赤ちゃんのおでこにふれて熱っぽいと、頭が真っ白になりますよね。でも熱が出たとき家ですることは、思ったよりシンプルです。体温を確かめて → 服と室温を整えて → 水分を少しずつこまめに与えて → 必要ならぬるま湯で拭いて → 赤ちゃんがつらそうなら解熱剤を判断して → 様子を記録しながら見守るという順番です。
ひとつだけ先に覚えておくと、気持ちがずっと楽になります。熱は病気そのものではなく、赤ちゃんの体が感染とたたかっているサインに近いものです。だから私たちが見るのは体温計の数字ひとつではなく、赤ちゃんがどれくらいつらそうか、よく飲みよく遊ぶかです。熱が38度を超えてもよく遊び水をよく飲むなら急いで慌てることではなく、逆に数字が高くなくてもぐったりして起きないなら、すぐに見てあげる必要があります。
ただし生後3か月未満の赤ちゃんが38度以上の熱を出したら、この順番はさておきすぐに受診してください。この時期の発熱は、それ自体が病院で確認の必要なサインと考えます。下の順番は、それより大きい赤ちゃんに当てはまる話です。
1段階、服を減らして室温から整えます
熱が出たら、まず赤ちゃんを包みすぎないようにしてあげます。汗をかかせれば熱が下がると考えて厚くくるむ方が多いのですが、かえって体に熱がこもって体温がもっと上がることがあります。薄い服一枚くらいで軽く着せ、部屋は暑すぎず寒すぎずにしてあげます。
ただ、赤ちゃんがぞくぞく震えたり手足が冷たい「悪寒」の状態のときは、しばらく薄い布団をかけてあげるほうがよいです。悪寒は体温がもっと上がっている途中というサインなので、このとき無理に服を全部脱がせると赤ちゃんがもっとつらくなることがあります。震えがおさまったら、また軽く脱がせてあげてください。コツはひとつです。赤ちゃんが心地よさそうに見えるほうへ、そのつど合わせてあげることです。
ちなみに何度から熱と見るかは、どこで測ったかによって少しずつ変わります。部位別の目安が迷うようなら、部位別の発熱の目安表の記事をあわせて見ると役立ちます。
2段階、水分を少しずつこまめに与えてください
熱が出たときに本当に大切なのは脱水を防ぐことです。体温が上がるとその分体から水分が抜けるので、しっかり飲ませるだけでも赤ちゃんはずっと楽になります。母乳やミルクを飲む赤ちゃんなら、いつもより頻繁に、一度に少しずつ含ませてください。離乳食を進めている赤ちゃんは、水や赤ちゃん用の水分補給飲料を少量ずつ分けて与えれば大丈夫です。
一度にたくさん飲ませようとするより、少ない量をこまめに与えるのがコツです。熱が出ると食欲がぐっと落ちるものなので、ごはんをいつもほど食べなくても心配しすぎないでください。こんなときは、よく食べることよりよく飲むことが先です。おむつがいつもと同じくらい濡れているか、くちびると口のなかがしっとりしているかが、水分が足りているかを見るよい目安です。
ぬるま湯で拭いてあげてもよいでしょうか
拭いてあげてもよいですが、あくまで補助の手段です。ぬるめの濡れタオルで、おでこ、首、わきの下、股のように太い血管が通る部位をやさしく拭いてあげると、しばらく気持ちよさそうにする赤ちゃんもいます。水の温度は、赤ちゃんがさわってぬるいと感じるくらいで十分です。
ここで必ず守りたいことが二つあります。ひとつめ、冷たい水や氷水は使わないでください。急に冷たい刺激がくると、体はかえって震えて熱をもっと上げようとして逆効果になります。ふたつめ、アルコールで拭くのは絶対にいけません。昔はアルコールマッサージをすすめることもありましたが、赤ちゃんの皮膚からアルコールが吸収されると中毒や低体温の危険があり、今は行わない方法です。
そして拭いている途中で赤ちゃんが嫌がって泣きつらそうにしたら、すぐにやめてください。無理に続けると赤ちゃんがもっと疲れるだけです。ぬるま湯拭きは「してもしなくてもよい」くらいの補助と考えると気が楽です。
解熱剤はいつ、どう判断しますか
いちばん慎重になる段階です。要点から言うと、解熱剤は熱の数字そのものより、赤ちゃんがつらそうなときに助けになるよう使うものです。熱があってもよく遊びよく眠るなら必ず飲ませるべきというものではなく、熱のせいでぐったりしてぐずり眠れないときに、赤ちゃんを楽にしてあげようと使うほうに近いです。
どんな解熱剤を使えますか
赤ちゃんによく使う解熱剤は大きく二つです。アセトアミノフェン系は比較的低い月齢から使え、イブプロフェン系はおおむね生後6か月以上からすすめられます。ただしどの成分をいつ使うか、とくに小さい赤ちゃんほど自己判断せず、医療者と相談するのが安全です。先ほど言ったように、生後3か月未満は解熱剤を自分で飲ませる前に、まず受診するのが原則です。
用量はどう決めますか
ここがいちばん迷いやすいところです。解熱剤の用量は赤ちゃんの「年齢」ではなく「体重」を基準に決めます。同じ月齢でも体重の差が大きいので、年齢だけ見て飲ませると多すぎたり少なすぎたりすることがあります。正確な量は製品の説明書に書かれた体重別の基準と医療者の案内に従ってください。この記事では特定の用量や何mLといった数値をお伝えしません。赤ちゃんによって基準が違い、むやみに決めつけると危険だからです。迷ったら、薬局や小児科に体重を伝えて確認してもらうのがいちばん確実です。
もうひとつ、同じ成分は最短の投与間隔を必ず守ってください。熱がなかなか下がらないからと、決められた間隔より早くまた飲ませると過量になることがあります。ですから飲ませた成分と時刻を書いておくと、間違いを大きく減らせます。
二種類を交互に飲ませてもよいでしょうか
成分の違う解熱剤を交互に使う、いわゆる「交互投与」を気にする方が多いです。状況によって使われることもありますが、間隔と用量を合わせ間違えるとミスが起きやすい方法なので、自己判断せず、必ず医療者と相談したうえで行うことをすすめます。「熱が下がらないから、あれこれ交互に飲ませてみよう」というやり方は避けてください。
最後に、記録しながら見守ります
解熱剤を飲ませたら、あとは体温と飲ませた時刻を記録しながら見守る段階です。熱が上下する流れ、最後に薬を飲ませた時間、赤ちゃんが水をよく飲むか、おしっこは出ているかを書いておくと、次の判断がずっと楽になります。もし病院に行くことになっても、この記録が医療者に大きな助けになります。
夜に熱が出たとき、今すぐ病院に行くべきか朝まで見てよいか迷いますよね。下の緊急のサインがなく、赤ちゃんが水をよく飲みながら眠れるなら、たいてい朝まで見守ってから受診でも大丈夫な場合が多いです。ただ、サインがひとつでも見えたら、時間に関係なくすぐ動いてください。
こんなときはすぐ病院、または119
熱より大切なのは赤ちゃんの様子です。下にあてはまるものがひとつでもあれば、時間を置かず受診するか、反応がないほど急なら119に連絡してください。
| 状況 | どうする |
|---|---|
| 生後3か月未満なのに38度以上の熱 | すぐ受診 |
| 体を震わせたり意識を失うけいれん(熱性けいれん) | ただちに119、けいれんの様子を覚えて伝える |
| ぐったりしてなかなか起きない、反応が弱い | すぐ受診・救急 |
| 息を苦しそうにする、くちびるが青くなる | ただちに119 |
| うまく飲めずおしっこが激減、涙や唾が乾く(脱水) | すぐ受診 |
| 解熱剤を飲ませてもずっとぐったりし、様子が悪くなる | すぐ受診 |
| 熱が何日も続く、発疹やひどいぐずりを伴う | 受診して相談 |
熱性けいれんは初めて経験すると本当に驚く瞬間です。このときは赤ちゃんを横向きに寝かせて気道を確保し、口に何も入れず、けいれんがどれくらい続いたか、どんな様子だったかを見て医療者に伝えてください。熱が出る病気が何かの見分けが必要なときは、赤ちゃんのインフル・風邪・コロナの症状の見分け方の記事も役立ちます。
熱が出たときにしてはいけないこと
早く熱を下げたい気持ちからしがちですが、かえって赤ちゃんを危険にする方法があります。一か所にまとめておくので、ぜひ覚えておいてください。
- アルコールで体を拭くこと — 皮膚から吸収されると中毒・低体温の危険があります。
- 冷たい水や氷水のお風呂 — 体が震えてかえって熱をもっと上げようとします。
- 厚くくるんで汗をかかせること — 熱がこもって体温がもっと上がることがあります。
- 大人の解熱剤や風邪薬を分けて飲ませること — 赤ちゃんの体に合わず危険です。
- 説明書より頻繁に、多く飲ませること — 決められた間隔と用量を超えると過量になります。
- 年齢だけ見て用量を決めること — 必ず体重を基準に確認します。
接種のあとに熱が出た状況なら対処が少し違うことがあるので、予防接種のあとの発熱の対処法の記事を別に参考にすることをすすめます。
よくある質問
解熱剤を飲ませたのに熱が下がりません。 解熱剤は熱を「平熱まで」下げる薬ではなく、一段二段下げて赤ちゃんを楽にしてあげる薬に近いです。少し下がって赤ちゃんがつらさを減らせたなら、役目を果たしています。決められた間隔の前にまた飲ませず、ずっとぐったりするなら受診してください。
熱があるとき寝かせてもよいですか。 よく眠るのは回復の助けになります。ただし眠っているあいだも息を楽にしているか、あまりにぐったりしていないかを見てあげてください。反応が弱かったり、起こしてもなかなか起きないなら、すぐに確認が必要です。
ごはんをまったく食べません。 熱が出るときは食欲がないのが自然です。ごはんより水分が先です。水や母乳・ミルクを少しずつこまめに与えながら、おしっこがよく出ているかを見てあげてください。
熱は何日くらい続きますか。 原因によって違うので、はっきり言い切るのは難しいです。感染による熱は、数日にわたって上下をくり返しながらしだいにおさまることが多いです。大切なのは日数を数えることより赤ちゃんの機嫌です。熱が長く続いたり、下がってまた上がりながら様子が悪くなるなら、受診で原因を確かめるのがよいでしょう。
解熱剤を二種類交互に飲ませてもよいですか。 自己判断せず、医療者と相談したうえで行うことをすすめます。間隔と用量を合わせ間違えるとミスが起きやすいです。
夜に熱が出たら救急に行くべきですか。 上の緊急のサインがなく、赤ちゃんが水をよく飲みながら眠れるなら、たいてい家で見守って朝に受診でも大丈夫な場合が多いです。ただし3か月未満の高熱やけいれん、ぐったりのような急なサインは、夜でもすぐ動いてください。
まとめると
- 服と室温をまず整え、水分を少しずつこまめに与えるのが始まりです。
- 解熱剤は熱の数字ではなく赤ちゃんの機嫌を見て、用量は体重を基準に説明書・医療者の案内どおりに使ってください。
- 3か月未満の高熱、けいれん、ぐったり、呼吸困難、脱水のようなサインは、時間に関係なくすぐ受診です。
熱が出る夜は、だれにとっても長く感じられます。でも順番を知っていれば、慌てずにひとつずつ進められます。何より、体温計の数字よりうちの赤ちゃんがどうかを、まず見てあげてください。